【会見全文】(下)タカタのエアバッグ問題で高田会長が初めて会見
日本の自動車部品メーカー、タカタ製エアバッグのリコール問題で、同社は25日、都内で記者会見を開き、高田重久会長が「市場措置により、多大なるご心配、ご迷惑をお掛けし、大変申し訳ない」と謝罪した。高田会長がエアバッグ問題で会見を開くのは初めて。 会見では、品質保証本部長の清水博氏がエアバッグ問題の経緯や同社の取り組みについて説明した後、記者との質疑応答が行われた。 以下はその全文書き起こし。 ・【会見全文(上)】からの続き
Q:硝酸アンモニウムは安全という前提が崩れているのでは?
司会者:申し訳ございません。1人1問でよろしくお願いいたします。では次の方、お願いいたします。では、はい、一番前の列の中央、3列目の。そうです。はい。 質問者(5):東洋経済、ヤマダと申します。たくさんあるんですけれども、皆さんもそうなんで、取りあえず1問だけまずします。今、出してる、新しいもの、交換も含めて、あと、これから出してくものも含めて、硝アンのものの安全性というのをすごく自信を持っていらっしゃるというのを今までも繰り返していらっしゃるんですけれども、結局のところ根本原因が分かってない中で、何をもって今の製品が安全だとおっしゃるのかというのがやっぱり、さっぱり分からないんですね。 相安定化の硝酸アンモニウムは安全であるとおっしゃってるんですけれども、そもそもその相安定化が崩れてんじゃないかっていうところがやっぱり、経年だったり湿気の問題で、そこが揺らいでるから問題だろうというのがわれわれの認識なんですけれども、そこに対して新しい、今の製品をいくらやっても、3年後なのか5年後なのか、また同じことが起きる。起きないという保証をどこに見いだせばいいのでしょうか。できれば会長にお願いしたいと思います。 高田:まず、基本的な考え方を私のほうから申し上げ、その後、清水のほうからもう少し詳細について申し上げたいと思います。繰り返しになりますけれども、われわれは相安定化硝酸アンモニウムを採用するときから、ほぼ10年前になるんですけれども、それよりはるか前から、いろいろな素材も含めて検討をしてきて採用に至ったということでございます。 その点、やはりわれわれも、当たり前でございますけれども安全・安心の観点からいろいろな検討を進めて採用してきたということがございます。そういう意味で、私としましては相安定化硝酸アンモニウムというのは、先ほど一部申し上げましたけども、ガス化率が非常に高い、また残渣が非常に少ないということがございまして、例えばぜんそく等を抱えられている方とか、そういうのに対する方への影響も究めて少ないというような、いろいろな側面を持っておりまして、そういうことと相まって、そういう形で採用してきていると。私としてはこれは安全・安心の、インフレータのプロペラントとして使うには妥当だというふうに思っております。あと、何か追加があれば清水のほうから。 清水:じゃあ私のほうからちょっと追加で説明させていただきます。いろいろとご心配されていることはよく理解できます。ちょっと繰り返しの説明になりますが、もう一度、申し訳ありませんけど説明させてください。過去の不具合事象では、先ほど一括説明の中でありましたように、α事案とβ事案がございます。α事案につきましては種々、いろいろな複数の理由があるんではございますが、全て製造上の問題があったことで不具合が発生したということで、これについては全て対策を打っております。 β事案につきましては、確かにおっしゃられるとおり真の原因究明までは至っておりませんが、弊社の市場から回収したインフレータの解析およびフラウンホーファー協会の解析結果から一応、高温多湿という特殊な環境の下に継続的に、かつ長期間さらされた状態に置きますと、またほかの複合要因と相まって、一部のインフレータに不具合が発生する可能性があるということが示唆されております。 そういう状況の中で、先ほど相安定化硝酸アンモニウムにつきまして、本当に安定化が確保されてるのか、担保されてるかというご質問がありましたけど、これにつきましては、フラウンホーファー協会については、先ほどもちょっと説明いたしましたがかなり、ガス発生剤そのものの化学的安定度とか変性とかそういうものについてかなり突っ込んだ解析をしておりまして、これについては今年の3月にも当局ならびに各カーメーカーさんにも説明しておるんですが、フラウンホーファー協会の解析結果によりますと、相安定化についてはあらゆる環境試験の結果などにおいても、相安定化が崩れるとか不安定な状態になっているというのは一切認められなかったということで、これにつきましては解析内容から基本的にエラーアウトできるという報告を受けております。 ただ、皆さんご心配な状況もよく理解できますので、実は5月18日に米国当局、NHTSAと同意しました合意指令の中にも書いておるんですが、現在、弊社が量産しております、これは交換部品も含めてなんですが、つきましては今回の拡大措置の対象、対象あらずにかかわらず引き続き製品の解析を継続して、そのデータを当局と共有することになっております。 一応、弊社の理解としましては、それで硝酸アンモニウムの相安定化についても含めて、安全性をご理解いただけると考えておりますが、もし万が一、何か皆さんにご不安を掛けるような要素が余計にできることが見つかった場合につきましては、そういったものが実際発生する可能性が発生する前に前広に、当局と一緒にご迷惑を掛けないような状況で適切な措置を取っていきたいと考えておりますし、そのことは同意指令の中にもNHTSAとの合意事項として入っておりますので、そういうことを複合的に考えますと、皆さんある程度ご安心していただけるのかなと考えております。 司会者:よろしいでしょうか。では次。では眼鏡掛けた女性の方、黒い服を着られた方、お願いします。 質問者(6):ロイター通信のキムと申します。よろしくお願いします。5月にNHTSAと合意したリコールの内容なんですが、その中で御社が不具合だと認めてリコールにつながったということなんですけど、となると、リコール費用の負担というのは、引き当ても含めてどういうふうに自動車メーカーと協議してるのかということを会長に伺いたいんですけども。もしできればマイクにはっきりと発言していただきたいんですけど。すいません、聞きづらいので。 高田:われわれがNHTSAさんと合意させていただいたDIR(不具合情報報告書)の内容には、記載されたとおりなんですけども、その中にはわれわれとしてはインフレータの容器破損につきましては、いまだ原因の特定には至っていないものも、数年にわたり長期間絶対湿度の高い環境化にさらされることにより、一部のインフレータに影響が及んだ可能性、および車種や製造上の要因など、他要因との組み合わせが関係している可能性があると考えておるということを記載させております。 その意味で、まだわれわれとしては不具合の理由は、原因というかはいまだ分かっていない。ただしそのような環境下でもやはり、市場への安全をやはり提供するためには、われわれとしてDIRを提出させていただくのが正しいと思いまして、そういう対応をさせていただいたということでございます。その意味におきまして、一部、先ほどのご質問と同じような話になりますけれども、そういうものの対処につきまして、責任問題というのについて、まだ申し上げられるステージにはないと思っております。 司会者:では次の方、お願いいたします。では、この列の3番目の方、お願いいたします。 質問者(7):NHKのシバタと申します。本日はありがとうございます。会長にお伺いしたいんですけども、先ほど、一部の社さんからも質問があったと思うんですが、経営責任についてなんですが、例えば原因が分かった段階であらためて責任を取るお考えがあるのかどうか。去年の年末に報酬返上を発表されていらっしゃいますが、この時点でもう経営の責任は1つのめどを付けていらっしゃるとお思いなのか、この辺りのお考えをお伺いしたいと思います。 高田:経営責任、私どもの製造した製品で不具合を発生させてしまいましたことについては大変、責任を感じております。また、今回さらにその拡大範囲が広がったということについても責任を感じております。私としては、先ほどの繰り返しになりますが、まずこの問題をしっかり解決していくというのが私の責務であると思いまして、まずそれを完遂するというのが対応だと思っています。 細かい話になりますが、今日、株主総会後の取締役会で、私を含めまして取締役の報酬返上、一部になりますけれども、というのをすでに実施させていただいております。そういうことも含めまして、われわれはこの問題解決に全力で、全社一丸となって対応していきたいと考えております。 司会者:では次の方、お願いいたします。今、NHKさんの後ろの方、お願いいたします。 質問者(8):日経新聞のエンドウと申します。会長にお答えしていただきたいんですが、今、銀行といろいろやり取りをされているかと思うんですけれども、今、銀行さんは御社の財政状況についてどのようなご意見を持っているのか。今、メインバンクさんとか御社は6行ぐらいお付き合いがあるかと思うんですけれども、それぞれの6行のスタンスというのは、今、足並みに乱れがあるのか、それとも全員一致で御社をサポートすることで合意しているのか。それについて教えてください。 高田:冒頭、私から申し上げて、そのあと野村のほうからご説明させていただきたいと思いますけども、われわれ、メインバンクさん、おっしゃられた6行さんを含めまして定期的に情報交換等をさせていただいて、適宜、われわれと密に情報交換をさせていただきながら話を進めさせていただいております。 その中で、われわれの今の段階で、非常に問題あるというようなご指摘はいただいておらないというふうに思っております。細かくは野村のほうからお話しします。 野村:私のほうから回答させていただきます。おっしゃるとおり、現在、銀行各行さまとは非常にサポートしていただいております。また将来につきましては、今後のことですのでなんとも申し上げられませんけれども、今後のことにつきましては遺漏なきように対応していきたいと思っておりますので、今後とも銀行団、銀行各行と連絡を密にして、慰労のなきよう対処してきたいと、そういうふうに考えております。