エルフ荒川、先輩・蛙亭イワクラへの感謝。かけられた言葉に「ホント震え上がりました」
死ぬような思いも、ウケなければ無意味
――2022年のTHE W決勝は、いかがでしたか。 荒川:めっちゃ緊張しました。1週間前に喉もつぶしちゃったし。(アインシュタイン・河井)ゆずるさんが病院を紹介してくれたおかげで、なんとかなりましたけど……。 はる:喉とんだときは、この世の終わりみたいな顔してたよな。 荒川:でも喉が治ったところで全然ウケなかったです。 はる:私も緊張してて全然ダメでした。コントだったんですけど、セリフ量も私のが多かったし、ちょうど審査員の方と目が合う位置だったから、「ヤッバっ!」って。 荒川:決勝出るだけじゃアカンねやって絶望しました。こんな死ぬような思いしても、ウケんかったらマジ意味ないんやなって。誰の記憶にも残らんねんから。それで上京2年目はもっとしんどかったです。 はる:荒川とは違って、私の中ではとりあえず全国の賞レースの決勝に出られたっていう達成感みたいなのは少しありましたけどね。 荒川:私は「あと1年は芸人続けられる」っていう感覚でした。もうちょっとこの世界におっていいんかなって。 ――そんな切実な思いを抱えてたなんて、普段の荒川さんのキャラクターからは想像もつかないです。 荒川:ね? 思わないでしょう? ホンマにがんばったんですよ~! ――その苦労が実り、2023年のTHE Wは準優勝しました。 荒川:妙な自信もあったんです。っていうのも、決勝メンバーでは私らが一番舞台に立ってると思ったから。 ――ファーストラウンドがコントで、決勝(ファイナルラウンド)は漫才でした。ネタの順番はどうやって決めたんですか。 荒川:コントは去年スベったから怖いっていうのはあったんです。でもほかのメンバーが漫才で続くんなら、コントにしたほうがいいかなとかも思って。でも、私たちのブロックが決まったら、ゆりやん(レトリィバァ)さん、あぁ~しらきさん、ぼる塾さんってなって……。 はる:とんでもないブロックに入ってしまった(笑)。 荒川:もう全部わからなくなりました。結局、前日の夜に出たサンミュージックさんのライブで、漫才の最後の10秒が仕上がったんです。だからまだ漫才はちょっと不安で、自信のあるコントのほうにしました。あと、あのネタって途中でメイク落とすじゃないですか。だから万が一優勝したら、すっぴんでトロフィー持つのはイヤやなって。 はる:まぁそうやな。あの瞬間の映像ずっと使われるもんな。 ――メイク落とすの最高でしたね。ちゃんみなさんリスペクトで。 荒川:うれしいです。あれは、ちゃんみなさんにも連絡して、インスパイアされましたって伝えました。 ――優勝まで、本当にあと一歩でしたね。 荒川:そう言ってもらえてうれしいんですけど、でも私らからしたら、2本できたっていうのがうれしすぎて満足してたんです。みんなからも「優勝できたんちゃう?」って言われて、「え? そうなん!?」って感じで。必死すぎて優勝までは意識できてなかったですね。 でもこれで、ようやく「お笑いやってもいい」って認めてもらえた感じはありました。次は優勝したいです。 ――賞レースで結果を出したエルフの今の目標はなんですか。 荒川:芸能界の1位になることですね。「MCになりたい」欲はないんですけど、あの輪に入りたい。有吉(弘行)さんと軽快にやりとりできるようになりたいし(笑)。だからもっと全部のレベルを上げなきゃいけないですね。 はる:私はみなさんから愛される芸人さんになりたいです。企画会議でも荒川はギャルっていう要素があるから使いやすいでしょうけど、はるって枠がなさすぎて困ると思うんですよ。狩野英孝さんとか出川(哲朗)さんみたいに、みんなからイジられて愛される人になりたいですね。 荒川:はるは皮をめくるほどに奇人なんです。ホンマにおもろいから早く見つかってほしい。お互いが一生懸命がんばって、エルフとして売れたいですね。 <文=安里和哲 撮影=青山裕企 編集=後藤亮平> ※エルフ 荒川(1996年8月30日、大阪府出身)と、はる(1996年6月16日、大阪府出身)のコンビ。2016年、大阪NSC38期として出会い、結成。2022年に東京へ進出すると、同年に行われた『女芸人No.1決定戦 THE W』(日本テレビ)で初めてファイナリストとなる。翌2023年にはTHE Wで準優勝。