深圳・男児死亡事件「中国の“安全神話”が揺らいだ」 中国だけじゃない、危険な国は増えているーー暴漢からわが子を守るためにできる「唯一のこと」
既に知られているかもしれないが、南アフリカは治安がいいとは決して言えない。殺人や強盗、カージャックは日常茶飯事で、銃を使った犯罪も多い。そうした社会状況を反映して、日本人学校も、校舎や敷地内の警備はよく整備されていた。 ソフト面でも、緊急連絡網や危機管理マニュアルの整備、安全講話や避難訓練の実施などがなされている。 過去に別の国の日本人学校で勤務していたという、とある教師に聞いた話によると、他国の日本人学校でも同じような状況らしい。つまり、施設を中心とする警備対策はすでにしっかりなされている。
今回の中国における邦人への襲撃は、学校そのもので起きたわけではなく、通学途上での事件だった。6月の事件もそうだ。つまり、「拠点」ではなく、その「経路」の安全が問われていると考えてよい。スクールバスの警備強化など施設外での物理的な対策強化が、喫緊の課題ということになる。 また南アフリカに話を戻すと、銃器使用犯罪が多い同国において、銃声のような音がした場合の逃げ方・隠れ方や、銃器を突き付けられた状況での対処法なども学ぶべきだと私は考えていた。
低学年の児童への心理的な負担を考慮する必要があったが、教師の意見も聞きながら、銃器対策について解説をした。 このように、現地の情勢に対応した安全教育や訓練も不可欠だろう。 前述の通り、「ローンオフェンダー型」犯罪は、事前対策を取って完全に防ぐことは難しい。中国に限らず、世界中どこでも発生し得る(たとえば昨年12月にパリの凱旋門付近で観光客がハンマーで殴りかかられた事件も発生している)。 もし、街中で凶器を持った人物に遭遇してしまったらどうしたらよいのか。筆者が安全講習でレクチャーしているのは以下のことだ。
凶器を振りかざす人物に遭遇したとき、最も大切なのは初動だ。最優先すべきことは、第一撃を防ぐこと。その際に、攻撃の軌道から自分の体を外すことが重要なのだ。 どうすればいいかというと、モノで犯人の凶器を叩くこと。モノというのは、通学・通勤途中なら、手にしたカバンや傘などが有効だろう。 ■犯人に遭遇した瞬間に絶対してはいけないこと 逆に、凶器を持った人物に遭遇した瞬間に絶対にしてはいけないことが2つある。