深圳・男児死亡事件「中国の“安全神話”が揺らいだ」 中国だけじゃない、危険な国は増えているーー暴漢からわが子を守るためにできる「唯一のこと」
他にも衝撃的な事件として報道されたものでは、今年3月に、10代前半の少年3人が、同級生の少年を殺害し、廃墟となっていた温室に遺体を埋めて遺棄したというものが挙げられる。 こうした事件を見てゆくと、中国の「安全神話」が全般的に揺らいでいると言うことができそうである。 ■「ローンオフェンダー型」犯罪の可能性 さて、我々日本人として問題なのは、外国人が被害者となる刺傷事件である。公表されているだけで、前述した事件も含め、日本人が被害者となる刺傷事件が今年3件も発生している。
・2024年4月 江蘇省蘇州 日本人男性が見知らぬ男に切りつけられて負傷 ・2024年6月 江蘇省蘇州 日本人学校のバスを待つ親子が襲われ、守ろうとした中国人女性1人が死亡 ・2024年9月 広東省深圳市 日本人学校に通う10歳の児童が刃物で襲われ、死亡 これに加え、6月には吉林省吉林市の公園で、アメリカ人の大学講師4人が切りつけられて負傷し、さらに助けに入った中国人1人も負傷するという事件も起きている。
今回の事件に限って言うと、事件当日が「柳条湖事件」の日と重なっており、関連を推測する向きもあるようだ。「柳条湖事件」とは、1931年に、関東軍が満州鉄道の線路を爆破し、満州事変に突入するきっかけとなった事件である。 こうした「記念日」は、朝から反日色の強い番組が放送される。ただ、日本政府の関係者や要人ではなく、非常に弱い立場にある小学生が狙われていることから、歴史的経緯を踏まえた攻撃であると言い切ることは現段階では難しい。
すると、今回の事件も、本年6月の江蘇省蘇州での事件も、外形的な観察からの判断ではあるものの、「ローンオフェンダー(ローンウルフ)型」犯罪(テロ組織に属さない個人による単独のテロ行為)だと見ることができる。 このタイプの犯罪は、散発的で、探知や予防が難しいことが特徴だ。 ■「拠点」ではなく、その「経路」の安全が問われる こうした事件に、どう対応すべきだろうか。 私は、警視庁時代、在南アフリカ日本大使館に警備対策官兼領事として勤務していたが、その際に、ヨハネスブルグ日本人学校で在校生と先生に安全講話を行っていた。