インドネシア発アウトドアブランド「アイガー」をバリ島でパトロール 東南アジアのアウトドア市場展望
店内に足を踏み入れるとそこは、キャンプ用のテントやコンテナ、アウトドア衣料などをマネキンを使って大変おしゃれに陳列していました。吹き抜けになった天井からは、バリで古くから漁業などに使われてきたのであろうトラディショナルな木製カヌーと共に、最近日本でも人気なコンパクトカヤックのパックラフトなどを展示。バイクに荷物を積み込んでアウトドアを楽しもう!的な展示が多かったのは、バイクが大多数の市民の足となっているバリ(というか東南&南アジア)市場ならではと感じました。
2フロア構成で、1階はシューズやテント、寝袋などの雑貨やギアも含めて、「アイガー」オリジナル商品がほとんど。自社オリジナルのアウトドア用品がウエアからギアまでそろい、そしてこの規模感。率直に言って、非常に「モンベル(MONT-BELL)」っぽい店だなと感じました。ネット検索すると、「アイガー」について“インドネシアの「モンベル」”と言及している日本の方も散見されます。
ボルダリングジムも併設、
体験型の店作り
さて、肝心の製品はというとペラペラなどということは全くなく、大変しっかりとした作り。例えば、ダウン70%、化繊綿30%の中綿入りインシュレーションジャケットは日本円で約3万2000円、透湿防水素材「パーテックス」を使ったシェルジャケットは約2万8000円。そう、決してお手頃なわけではないのです。日本で買う「モンベル」はシェルで2万5000円前後が中心なので、「モンベル」の方が買いやすいと言ってもいいのかも。現地の人にとっては「アイガー」は結構なぜいたく品なのではと思いましたが、日本の税制では想像できないような累代の資産がうなっているインドネシアの若い富豪にとっては、痛くもかゆくもない価格なのかもしれません。
また、富裕層だけでなく一般消費者にとっても、国の人口がここからどんどん増え(2030年に3億人予想)、経済成長がさらに進んでいくことを考えれば、数年後にはそれこそ日本の山好きが「モンベル」を買うときの金銭感覚に近いものになるのかもしれません。買いやすい価格ですばらしい品質を実現している「モンベル」に比べると、例えば軽量性やかさばらないといった要素ではまだまだ改良余地が多分にあるなと感じる製品が多かったですが、「アイガー」もここから改良を重ねて発展していくんでしょう。軽量性追求のスポーツウエアというよりも、タクティカル(=軍モノ)寄りの骨太なアウトドアウエアが多かった点は日本のアウトドア市場とちょっと異なる点でした。それは好まれるテーストの違いなのかもしれません。