国立大学歯学部を辞め医学部を再受験、29歳で研修医生活をスタートさせた女性「努力も継続も嫌い。それより大事なのは…」
■「強みをどう活かすか」を考える 医学部生活の劣等感を通じてわかったこと
――医師国家試験を受けるタイミングでは28歳でした。勉強を続けることの大変さや不便さを感じた部分はありましたか? 【ちま】医学部に入学してからずーっと感じています!(笑)。これは年齢によるものというよりは、「私自身の知能レベルの低さ」に対して感じています。やはり医学部に現役・1浪で入学する人は、「長時間の勉強を息を吸うようにできる人」「1聞いて100理解できる人」「疑問を解消する努力を怠らない人」が多いです。とにかく優秀。一方、私は勉強より遊びや仕事が好きだし、不真面目だし、長時間机に座っていられない性格です。それに加えて、頭の回転も遅いし暗記力も悪いです。 ――逆に、ちまさんの強みは? 【ちま】圧倒的に自分のスキル不足を感じる日々でしたが、唯一自分にある強みは「切羽詰まったときの集中力とメンタル」だと医学部生活を通じて認識しました。なので、頭は悪いですが、試験直前に焦らずに詰め込むことはできたので、ギリギリにブーストをかける方式で医師国家試験も乗り切ることができたと感じます。とにかく自分の強みと弱みを認識して、「強みをどう活かすか」を考えることが大事だと医学部生活での初期に感じた劣等感を通じて学びました。 ――医師国家試験に合格されたときはどのような気持ちでしたか? 【ちま】医師国家試験前の勉強期間は運良く妊娠中期だったので、それほど体調の変化も感じず、通常運転で勉強することができました。また、幸いなことに悪阻も軽かったので、特に変わらず進められたと思います。発信している身なので「落ちるわけにいかん」という「気合い」で乗り切ることができました。 ――4回の大学受験、医師国家試験を経て、ちまさん自身はどのような気づきを得ましたか? 【ちま】自分の理想を叶えるために大事なことは2点あると思います。まずは「自己分析=自分の強みを認識する」こと。進路を決めるフェーズにいる10代後半~20代前半の若者は、どうしても「ビジュアル」「頭の良さ」など、わかりやすい他人の魅力が気になって比較してしまう人が多いです。しかし、今アラサーになって振り返ると、「体力があること」「向上心が強い」「何事も気にしないメンタル」など、一見認識しにくい内面の要素が実はとっても大事な強みだったりします。それを早い段階で認識して『自分の強み』のハンコを押してあげて、理想像に向けてうまく活かしていくことがとても重要だと感じます。 ――2つ目は? 【ちま】次に大事なのは、他人の意見や固定観念に流されず、数年後の理想の自分を想像して、それに向けて諦めずに行動すること。自分の意思で自分だけの理想に向けて行動すること。決断の理由が「みんながしていたから」「親に言われたから」など、自分以外の要因であることは多いです。 ――確かにそうかもしれません。 【ちま】他人からの影響による意思決定はいつか歪みが来る。なので、常に「数年後、自分はどうなっていたいか?」「どんな場所でどんな仕事でどんなパートナーとどんな暮らしをしていたいか?」を細かすぎるくらいに解像度高く妄想することをお勧めします。そして数年後の理想像が固まったら、「無理かもしれない」とか「周りにどう思われるか」は一切考えず、達成することだけを考えて行動すること。この2点を自分の中にインストールできれば、なんだってできると思います。