一度は見たい「阿蘇山火口」の絶景! 警戒レベル1でしか行けない「登山レポ」
■高岳~中岳
高岳から中岳までは片道20分ほどの下り調子のなだらかな稜線歩きとなる。足元は先ほどの岩場と異なり、土と石混じりの登山道。空の青さに吸い込まれていくかのように登山道は中岳山頂(1,506m)へと続く。 中岳近くまでくると、景色は一変する。茶色い土の中岳山頂と、遠くに見える緑色をした山々の間に灰色の空間が現れる。火口だ。 まるで色を失ったかのような灰色の火口からは絶えず煙が上がり、生物の存在を感じさせない。その迫力ある景色に言葉を失う。ぬめっとした雰囲気の灰色の火口がなんとも生々しく見えたからだ。過去に北海道の十勝岳など煙を上げている火山の山は登ったことがあるが、このような景観は見たことがない。 噴火警戒レベル2の場合、火口周辺への立ち入りは規制されているが、今回紹介した中岳までのルートは登山可能だ。しかし、中岳山頂から迂回路を通って仙酔峡まで下ることになる。今回はレベル1のため、火口間近の登山道を歩く。
■中岳~仙酔峡
噴火警戒レベルが1となったことで歩けたのは、中岳から火口東展望所を経由するルート、中岳山頂から30分ほどの距離だ。 足元の茶色い土はやがて灰色の泥状に変わり、真横には地球の底へと続いていそうな火口がパックリと口を開けている。その口から噴く煙は時折、空高く昇り、もしかして噴火するのではないかと恐怖を覚えてしまうほどだった。それを裏付けるかのように、登山道沿いには真っ黒になった避難壕が点々と建っている。 火口東まで来ると登山道の雰囲気はまた変わり、仙酔峡までは急坂の舗装された登山道を下る。筆者が歩いたときは、窓ガラスが砕け散り廃墟と化した灰色の建物や、ロープウェイ跡の支柱が遺跡のように仙酔峡まで点々と建っていた。大自然のパワーの前では、人間の作った建造物はこんなにも脆いのかと感じさせられた。 しかし、現在は廃墟と化したロープウェイ跡も取り壊され、更地となっている。