ピアノで味わうワーグナー。カール・タウジヒによる名編曲『ワルキューレの騎行』【クラシック今日は何の日?】
クラシックソムリエが語る「名曲物語365」
難しいイメージのあるクラシック音楽も、作品に秘められた思いやエピソードを知ればぐっと身近な存在に。人生を豊かに彩る音楽の世界を、クラシックソムリエの田中 泰さんが案内します。
ワーグナー/タウジヒ『ワルキューレの騎行』 史上空前の大作をピアノで味わう
今日7月17日は、ポーランド出身のピアニスト、カール・タウジヒ(1841~71)の命日です。 作曲家としてのタウジヒの作品は、ほとんど顧みられることはありませんが、数多くの作曲家の作品をピアノ編曲した功績は見逃せません。中でもワーグナー(1813~83)の『ワルキューレの騎行』は、コンサートで演奏される機会の多い名編曲です。 この原曲を一躍有名にしたのが、フランシス・コッポラ監督による1979年の映画『地獄の黙示録』でした。映画に使われたゲオルグ・ショルティ指揮、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団による、ワーグナーのアルバム『ニーベルングの指環』の売上は、なんと1800万枚を記録。ノーマン・レブレヒト著『クラシックレコードの百年史』によれば、世界で最も売れたクラシックアルバムとされています。 ちなみに第2位は、『三大テノール 世紀の共演』(1400万枚)。第3位が、イ・ムジチが演奏したヴィヴァルディの『四季』(950万枚)なのだとか。この結果だけを見ると、タウジヒには先見の明があったといえそうです。
田中 泰/Yasushi Tanaka
一般財団法人日本クラシックソムリエ協会代表理事。ラジオや飛行機の機内チャンネルのほか、さまざまなメディアでの執筆や講演を通してクラシック音楽の魅力を発信している。
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