イヤイヤ始めたバスケに、人生を2度救われた――いじめられっ子からの覚醒、副島淳とバスケットボール
09年、舞台『パンク侍、斬られて候』で初めて外国人役ではなく「黒和直仁」という日本人役を演じた。それまでは日本育ちで日本語しか話せない自分に、なぜ「ケニー」とか「ルイス」という外国人の役しか回ってこないのかと悩んだこともあった。 「それはそれで面白かったので、文句があったわけではないんです。ただ、自分はちゃんと日本語が話せるのに、なんでわざとカタコトで話したり、変なイントネーションにしなければいけないのかということは、どうしても考えてしまいましたね。 芸能界に向いていないのではと思ったこともあります。ただ、中学でバスケを始めたときも結局は自分の特徴を生かすことで『これで、いいんだ』と思えた瞬間がありましたし、たとえば『あさイチ』でもこの見た目なのに日本語しか話せないということを面白がってもらい、少しずつみなさんに認知していただけるようになったところはあると思います。もちろん自分のルーツを恨んだことはありますが、それでおいしい思いもさせてもらいました。誰しも自分は変えられませんが、それでもどこかにそのままの自分を生かせる場所があるってことを気づかされたような気がします」
日本代表には、とにかくガチンコの試合を見せてほしい
いまはバスケの情報番組にも出演するように。仕事を始めるキッカケになったのがバスケなら、その幅を広げたくれたのもバスケだった。そんな副島だけに、間もなく開幕するW杯が気にならないはずもない。 「16年にBリーグ(日本では野球、サッカーに次いで発足したバスケットボールのプロリーグ)が開幕したときも、感極まるものがありましたからね。W杯で日本は、ドイツ(8月25日)、フィンランド(同27日)、オーストラリア(同29日)と戦いますが、バスケを知っている人ほど『厳しいグループ』だと感じていると思います。ただ、日本代表ヘッドコーチのトム・ホーバスさんは、番組でご一緒したときにこんな風に言っていました。 『死の組と言われていますが、それは他の3カ国が強すぎて日本が劣っているわけではなく、日本も含めてのこと。だから、私はネガティブには捉えていません』 ヘッドコーチだから、ポジティブに言うのは当たり前かもしれませんが、僕自身それを聞いて、(この組み合わせを)少しマイナスに捉えすぎてしまっていたかなと感じました。もちろん、ドイツもフィンランドもオーストラリアもすべて日本から見れば格上ですが、別に卑下する必要はないですからね。まずは予選突破を目標に、とにかくガチンコの試合を見せてほしいです」