明日渡英。渋野日向子は全英女子連覇を果たせるのか?
硬いグリーンでは、スピンを加えないとオンしても止まらないし、そのスピン量を計算できないと、グリーンオーバーを余儀なくされる。 さらに渋野が「怖いですよね」と警戒する強い風が吹く。 「昨年が良すぎたので特にプレッシャーはない」と話すが難問コースだ。 そして試合勘の問題が重なる。今季の開幕戦となった「アース・モンダミンカップ」では、ブランクの影響でまさかの予選落ちを味わっている。 実は、ツアーの中止が続いたことによって生じた”長いオフ”の間は、「全英」対策も念頭に置いたアプローチ練習に多くの時間を割き、スイング改造に取り組んできた。 これまでグリーン周りで使うクラブはほぼサンドウエッジ(SW)だったが、52度のウエッジ、ピッチングウエッジ(PW)に9番アイアン も使い、球を転がすランニングアプローチを練習。さらに球を高く上げるロブ系のアプローチの習得にも励み、青木翔コーチは「一日400~500球は打っていたと思う」と練習の大半を昨年から課題としていたアプローチ練習にあてていた。 だが、その結果を試す場がなかった。完成とは呼べない段階ゆえに本番での修正が利かず開幕戦では惨敗した。 置かれている状況は厳しく、再び予選落ちの悪夢も懸念されるが、条件は、他のゴルファーも同じだ。強運の持ち主である渋野が“神風”を味方につけ、習得中のアプローチがピタリと決まり続ければ何が起きるかわからない、という期待がある。 渋野が全英にかける理由のひとつに1年延期となった東京五輪出場を決めるためポイント配分の高い海外メジャーで好成績を収めておきたいというものもあるだろう。代表選考の基準となる世界ランキングを上げるためには重要な大会なのだ。 だが、渋野が全英にこだわる理由は、もっと単純なものではないかという気もする。初体験となるリンクス。ディフェンディングチャンピオンとしての責任感と同時にゴルフの原風景に挑戦できるワクワク感が新型コロナの不安などの一切の迷いを消したような気がしてならない。それが渋野日向子というゴルファーの原点なのだ。 今回は、青木コーチと2人だけの渡英となる。会場には、選手とキャディーしか入れないため、昨年大会以来となる師弟タッグを結成して連覇に挑むプラン。 全英の前週には、同じくリンクスコースで開催される「ASIスコットランド女子オープン」への 推薦出場も決まり、そこで全英への“試運転“を行う予定だ。