人流復活で増えるトコジラミ「深刻に捉えすぎず、冷静に対策を」 自ら刺されて図鑑を作った皮膚科医 #なぜ話題
ひと部屋に何十匹といることも 「毎日刺されまくる。不快感がすごい」
一方で、夏秋さんは「トコジラミから受ける被害を深刻に取りすぎることもいけません」とも語る。 「トコジラミが血を吸うメカニズムは蚊と一緒で、口器を皮膚に刺して、吸血する際に口の中から血液が固まりにくくなる唾液腺物質を出している。この物質が人間の身体にとって異物なので、アレルギー反応を起こし、結果、かゆくなるんです。かゆみの程度は蚊と一緒です。幸い、感染症は媒介しません。刺されて3、4日がかゆみのピークで、2週間ほどで自然に治ります。かゆみや腫れが気になるなら市販の虫刺され薬を塗ればよいと思います」 1カ所のかゆみはその程度。ただトコジラミはひと部屋に何十匹といる場合があり、毎日あちこち刺されまくる。そうなると不快感は蚊の比ではない。 「刺される個数が圧倒的に違うんですよ。トコジラミは連日のように、次々と吸血に来るんです。巣窟になっている部屋に住んでいたらひと晩に何十カ所も刺されて、しかもそれが毎日ですよ。その不快感が半端ないんです」
わが家にトコジラミが!? 「うそ寝作戦」でチェック
自分の部屋にトコジラミが繁殖していないか、確認のため夏秋さんは「うそ寝作戦」を勧める。ネーミングも夏秋さんだ。 「トコジラミは夜行性なので、夜に部屋の電気を消して真っ暗にして、布団の上になるべく肌を出して横たわる。そのまま30分ぐらいじっとして、急に電気をつけるんです。そこで、布団や自分の身体の上をトコジラミが這っていないか確認します。生息数が少ないと、1回だけでは見つからないので、3回くらい実行します。この作戦でほぼ確実にトコジラミを捕獲できます。ただし、冬場は気温が低くて活動しないので、出てきません」 宿泊先で見つかった場合、トコジラミを自宅に持ち帰らないことが大切。 「トコジラミは吸血したあと、自分のねぐらに帰ります。荷物や脱いだ衣服を散らかしていると、そこにもぐり込みます。だから自分の寝場所の周りにものを置かないのがポイント。衣類やスーツケースなどはゴミ袋などに入れて、入り口付近に置く。あるいは洗面所に置いて、電気を消さずに明るくしておく」 自宅で発見してしまった場合はどうするか。一番安心できるのはプロの業者さんに駆除をお願いすることで、日本ペストコントロール協会の会員名簿から選ぶのがよいだろう。ただし費用はそれなりにかかる。市販の殺虫剤を使う場合、くん煙剤なら「ブロフラニリド」、スプレー式なら「メトキサジアゾン」や「プロポクスル」が含まれているものがよい。