ワールドがライトオンを子会社に。買収の背景、ライトオンの業績+EC事業の現況+今後の計画まとめ
そのほか、「人材・業務支援」「MD・仕入・調達」「情報システム・物流」「店舗開発・運営」「新規事業開発」「マーケティング・顧客管理」「資本政策」の面でシナジーを期待。EC関連の部分では、新規事業開発においてワールドの持つEC含むデジタルインフラ事業、ライトオンの店舗開発・運営のノウハウを生かし、両社単独では実現できなかった事業開発を行うとした。
ライトオンの経営体制は刷新する。監督(取締役)と執行(執行役員)を分離した経営体制へ移行。11月29日の株主総会において現ワールド常務執行役員の大峯伊索氏がライトオンの社長執行役員に就任予定のほか、ワールドが指名する大峯氏を含めた2名を取締役、2名を監査役に選任する予定。
急速に業績が悪化したライトオン、なぜ?
ライトオンの2024年8月期の売上高は前期比17.3%減の388億800万円。営業利益は50億円の赤字(前期は9億2200万円の赤字)、経常利益は51億6600万円の赤字(前期は10億4800万円の赤字)、当期純利益は121億4200万円の赤字(前期は25億4500万円の赤字)だった。なおEC関与売上高は前期比7.8%減の20億2900万円で、EC化率は5.2%。EC関与売上高はECサイトで注文した商品を店舗で受け取り、支払いをした売り上げも含む数字。
上期はPB商品の販売不振などにより売り上げが低迷。在庫消化に向けた値引き幅が拡大し、粗利率が大きく低下した。下期も想定以上の客数減少となり、期初計画を下回る減収減益となったほか、ECについても売れ筋商品の在庫不足などが影響した。退店や固定資産の譲渡、店舗の収益性の低下に伴う減損損失、共用資産を含む全社の固定資産の減損損失、構造改革に伴う不採算店舗の大規模退店による店舗閉鎖損失、POSや会員データ基盤の投資解約に係る契約解除損失など特別損失を70億7000万円計上した。 ライトオンでは2024年8月期から2026年8月期の3か年の中期経営計画が進行中だったが、初年度から大幅未達となったことから取り下げた。新たに2025年8月期を初年度とする5か年の中期経営計画を策定。徹底的なコスト削減と商品構成の大幅変更による売上総利益率の改善に注力し、利益重視への抜本的な転換を図るとしている。初期2年間においては、不採算店舗の大規模退店、人員削減などコスト削減と商品構成の大幅な見直しを実施。事業規模の縮小を辞さず、早期に営業利益を創出できる事業構造に転換するとしている。
新中期経営計画では2025年8月期の売上高は前期比27.6%減の281億円、売上総利益率は前期比11.9ポイント改善の51.7%、営業利益は15億円の赤字(前期は50億円の赤字)を計画。最終年度となる2029年8月期は売上高254億円、売上総利益率53.1%、営業利益15億円をめざす。