話題の<103万円の壁>「年金とパート収入で生活する70代女性」シニア世代への影響は?今さら聞けないお金の話題をFPが丁寧に解説
年収103万円以下なら所得税はかからない
収入から経費を差し引いたものが「所得」です。そして、所得から基礎控除などの所得控除を差し引いたものが「課税所得」になり、そこから「所得税」が計算されます。なお、所得税は毎年1月1日から12月31日までの1年間で得た所得に対してかかる税金のことです。 問題の「103万円の壁」について、実際に計算すると以下のようになります。 パートなどで収入が103万円だった場合、103万円から給与所得控除(55万円)を差し引くと、所得は48万円になります。さらにそこから、基礎控除額48万円を差し引くと、課税所得は0円となり、所得税がかからないというわけです。
年収104万円になるとどうなる?
では、年収が104万円になった場合は、どうなるのでしょうか? パートやアルバイトなどの「給与収入」が104万円だった場合、同様の計算によって所得は49万円となり、課税所得は1万円となります。 課税所得の税率は段階的にアップしていきますが、1000円~194万9000円までは税率は5%です。つまり、支払う所得税は、1万円に5%を乗じた500円になります。 103万のときは税金0円ですが、104万円にアップすると500円の所得税を支払うことになるわけです。 この「103万円の壁」が178万円に引き上がることにより、減税効果は見込まれますが、税収全体が減ることなども懸念されています。
年金生活者の「103万円の壁」はどうなる?
シニア世代で年金をもらいながらパートやアルバイトをしている人も同様に、「103万円の壁」は関係しています。 年金収入は「雑所得」にあたります。たとえば、年金収入(老齢基礎年金)が、公的年金等控除額(65才以上の場合は110万円)以下の場合は、所得は0円となるため、所得税はかかりません(※年金の支給額が上がれば税金がかかり、所得税が差し引かれた状態で振り込まれます)。 年金の所得税が0円でも、同じ人が、アルバイトやパートをした場合の収入には前述のように税金がかかるため、103万円を超えてしまうと所得税が発生します。