侍ジャパンは守護神複数制でWBCを勝てるのか?
3月の第4回WBCに挑む侍ジャパンのメンバー発表が24日、都内のホテルで行われ、小久保監督によって8人の追加メンバーを含む代表27人の名前が別表のように読み上げられた。予測されたように日本人メジャーリーガーは、アストロズの青木宣親外野手一人だけ。期待された日本人メジャー投手は全滅となった。それでも小久保監督は、チームのストロングポイントを「投手陣」とした上で、「点を与えず最小失点で切り抜ける野球でないと勝てない」と明言した。 大会日程上4人が必要となる先発については、日ハムの大谷翔平、巨人の菅野智之、楽天の則本昴大、ロッテの石川歩の名前を挙げ、「短いイニングでも長いイニングでも柔軟にいけるメンバーが編成できた」と、第2先発投手候補に、ソフトバンクの千賀滉大、日ハムの増井浩俊、西武の牧田和久の名前を出したが、肝心のストッパーについては、「経験でいくと平野と松井。そのときの状態のいい投手を使うという方向でいく」と複数制を採用する構想であることを明らかにした。 つまり追加召集したオリックスの平野佳寿、楽天の松井裕樹の2人がストッパー候補ではあるが、一人には固定せず、その変則スタイルが国際試合で通用することを証明したヤクルトの秋吉亮を含めて、調子を見ながら守護神に起用するという複数制だ。 守護神複数制採用の背景には、最後まで交渉を続けていたマーリンズの田澤純一の不参加が響いているようだが、果たしてこのチーム戦略で勝てるのだろうか? 「中継ぎ以降のピッチャーが不透明」と、メンバー発表前から問題を提起していた第1回WBCの優勝キャッチャーの元千葉ロッテ、里崎智也氏は、「現在の国内の中では最強の布陣が集まったと思います。今後、どう使うのかでしょうが、今なお中継ぎ以降が不透明なのは変わりません。特にストッパーを一人に決めていないことは問題でしょう。プレミア12の反省が生かされていないと感じます」と、辛らつな指摘をした。 確かに2年前のプレミア12では、韓国との準決勝で、則本をストッパー起用。慣れないポジションで8回から9回と回跨ぎをさせ、その後、松井、増井とつないだが、結果的に継投ミスで逆転負けを喫して優勝を逃している。だが、その反省を元にピッチングスタッフに監督経験もあり指導経験豊かな権藤博氏を迎えた。今回は権藤氏が中心となって調子の良し悪しを判断できるため、プレミア12のときとはベンチワーク環境は違う。 昨季の日本シリーズでは、本来の守護神のマーティンを欠いた日ハムの栗山監督が、宮西、谷元、バースの調子と、相性などを見ながら日替わりで変えていく守護神複数制で成功させた例もある。短期決戦ではありえる手法かもしれないが、以下の理由で危険なプランであることは否定できない。