侍ジャパンは守護神複数制でWBCを勝てるのか?
里崎氏が続ける。 「渡辺俊介(元ロッテ、第1回WBC優勝メンバーのアンダースロー)も言っていましたが、第一回のWBCでは、ピッチャーが、いつ、どこで、どう使われるかが明確になっていて事前に伝えられていました。役割が明確だったのでブルペンも準備が万全にできたのです。あの時の守護神は、メジャーの大塚さんでした。調子を見ながらの複数制となると、個々の準備が難しくなるというリスクがあります。短期決戦の中で、普段から見ていないピッチャーの調子をしっかりと把握することも難しいかもしれません」 WBCではベンチ入りできるスタッフの人数も限られていて、試合中のベンチとブルペンの連絡も、プロ野球のレギュラーシーズンとは違う。実際、準決勝敗退となった前大会でも、ブルペンではまだ準備のできていない投手に、登板指令がきて、交代を引き伸ばすなどドタバタする場面も少なくなかった。 「国際試合でのストッパーの条件は、苦しいときに変化球でストライクがとれる。つまりキレのある変化球がカウント球にも勝負球にも使える投手というのが僕の考えです。第1回で優勝した際の大塚さんもスライダーが武器でしたし、第2回で最後に切り札となったダルビッシュにしてもストレートは速いですが、配球のほとんどが制球力のある変化球です。メジャークラスは、150キロ台のストレートなどは脅威に感じません。事実、あの凄いストレートを持っていた藤川球児でさえ、国際試合では苦しみました。フォークというウイニングショットを持つ平野ですが困ったらストレートですし、松井裕にしても変化球がいいですが、制球力には若干の不安はあります」 さらに里崎氏は、「タイブレークとなる可能性も高いです。守護神と同時に、タイブレーク用の投手を用意しておく必要もあるのではないでしょうか」という意見も述べた。 あくまでも守護神複数制は構想段階で、合宿と、5試合ある強化試合をこなしていく中で変更される可能性もあるだろう。いずれにしろ、韓国、キューバ、オランダらの1次、2次ラウンドでのライバルチームとは僅差の接戦が予想されるだけにストッパーを含めた継投策の成否が大きな鍵を握ることになりそうだ。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)