357日ぶり先発の阪神・藤浪が5回まで無失点も逆転満塁被弾で敗戦投手…”明と暗”2つの顔をどう評価すべきか?
ただ、6回に浴びた逆転満塁弾に心に残るトラウマが垣間見えたという。 「死球になりそうなインコースへ変化球が抜けたことで、アウトコースに投げなければならないと意識をしすぎ、上体がつっこみ、変化球が思った軌道でコントロールできなくなった。外へボールがいきすぎることを修正できなかった。おそらくブルペンでは修正できるのだろうが、実戦では緊張も加わり、昨年まで失敗してきた潜在意識などが知らないうちに出てくる。この課題は試合の中で克服していくしかない」 一方で、まとまり過ぎて迫力や打者へ与える威圧感が消えてしまったという“負の変化”も見え隠れしていた。中日OBの山本昌氏から「手首をタテに使う」ことをメインに指導を受け、再生に乗り出した段階から指摘されていたことだが、”恐怖感”という藤浪の最大の長所が目立たなくなった。初回に一死から安倍、堂林に簡単に連打を浴びたが、打ち損じさせファウルになるようなボールは少なかった。 ストレートのほとんどが150キロを超え、最速156キロをマークした。だが、打者の体感としては球速表示通りではなかったのか。ピレラにストレートを一発で仕留められてしまったのも、制球力と引き換えに変わってしまった藤浪のボールの質が影響しているのかもしれない。 以前の荒々しい迫力と球威をキープしたまま制球力がつけば文句はないが、昨年わずか1試合の登板に終わっている藤浪に早急にそこまでを求めるのは酷だろう。チームの連勝を止め、悲運の負け投手にはなったが、まずは新しい藤浪が踏み出した第一歩を評価すべきではないだろうか。次回登板は30日のヤクルト戦(神宮)が濃厚とされている。