阪神の藤浪が山本昌氏直伝フォームで死球、抜け球の悪癖封印も迫力不足を露呈…今季復活は果たせるのか?
阪神の藤浪晋太郎(25)が4日、沖縄宜野座キャンプで行われたシート打撃に初登板、打者5人(左打者4人)に12球を投じ、ヒット2本(1本は実質エラー)、1四球、2失点の内容で最速は154キロをマークした。山本昌臨時コーチと取り組んできたフォーム矯正の効果からか、抜け球、死球という悪癖は封印され、ボールは暴れず「及第点」と自己採点。一方で球速は出ているが、ファウルなどを誘えず球威、迫力不足という課題も残った。本人も、そこを次の段階のテーマとして自覚しているが、果たして藤浪は今季復活を遂げることができるのか?
最速154キロをマーク
シート打撃の最後に藤浪がマウンドに向かうと「かりゆしホテルズボールパーク宜野座」の観客席から大きな拍手が起きた。昨年わずか1試合の登板で、プロ7年目にして初めて勝ち星なしに終わった。入団以来、3年連続2桁を勝ったエース候補が、いつのまにか、その座から遠のき、崖っぷちに追い込まれている。その藤浪の立場を知り復活を願うファンの温かい気持ちが拍手と歓声に変わったのである。 打者5人に対するシート打撃。首脳陣は、藤浪のボールが抜けた場合の危険に備え、5人中、高山、木浪、近本、島田と左打者を4人並べた。注目の高山への初球はストレートだった。惜しくもゾーンを外れたが、「高山さんの初球。ボールと言われたが、指にかかって良かった」と振り返る、快心の1球。電光掲示に152キロと示されスタジアムがどよめく。だが、続く2球目、151キロのストレートを痛打された。快音を残す打球は、左中間を真っ二つである。 続く木浪には147キロのストレートを狙われて一塁ゴロ。いずれもストレートがシュート回転して真ん中へ入る絶好球だった。 3人目、近本への初球はボールになったが、この日、最速の154キロをマークした。結局、四球で歩かせることになるが、投げた瞬間にボールとわかるスッポ抜けは、1球もなかった。 続く島田にはスライダーを打たせて一塁ゴロ。最後5人目は、初めての右打者、坂本が打席に入ったが、133キロのスライダーをジャストミートされた。センターを守った熊谷が背走。十分に追いついていたが、熊谷はグラブをかすめながら後逸、不運な三塁打となった。 結局、12球を投じてヒット2本で2失点。結果は、褒められるものではなかったが、秋季キャンプから元中日のレジェンド、山本昌臨時コーチと共に取り組んできた手首を立て「ボールを横にぶれさせない」新フォームは固まりつつあり、心配された死球も大暴投もなかった。マウンド上では悪いときに見せる照れ隠しのような笑いもなかった。