357日ぶり先発の阪神・藤浪が5回まで無失点も逆転満塁被弾で敗戦投手…”明と暗”2つの顔をどう評価すべきか?
この回を終えた藤浪は、悔しそうに右手でふともも付近を叩いてクビをひねり、下を向いてベンチへと下がった。球数に余裕のあった藤浪は7回もマウンドに送りだされたが、田中のショートゴロを北條がお手玉し、矢野監督のリクエストも実らず、続く代打の野間に四球を与えたところで交代を告げられた。昨年8月1日の中日戦以来、357日ぶりとなる先発は、106球、6回0/3で4安打6四球5奪三振4失点の内容で、悔しい負け投手となった。 藤浪は、試合中に「先制点をもらった状況だったので、何としても自分自身で勝ちを呼びこめないといけなかったのですが、今日一番のターニングポイントで粘りきることができずもったいない投球となりました」との広報談話を残した。 5回までは無失点投球。心配された“ノーコン”は影を潜め、2つの併殺打を含む9つのアウトを内野ゴロに打ち取っていた。課題だった抜け球は、ほとんど封印。テンポもよく、走者を背負っても粘り強くストレートで押し込んだ。5つの三振の勝負球は、ストレート2つ、カット2つ、フォーク一つという内容だった。5回までの藤浪と6回の藤浪はまるで別人。“明と暗”の2つの顔をさらけだした背番号「19」のピッチングをどう評価すればいいのだろうか。 矢野監督は、「立ち上がりから晋太郎らしく、しっかり腕を振って投げてくれた。(6回の満塁本塁打は)勝ち投手の権利もあり、ピンチを背負って、力みもあったが、勝負にいった結果なので仕方がない」と、5回までの内容を評価。ローテー入りに合格点を与え、次回の先発登板を示唆した。 阪神OBの評論家、池田親興氏も「評価すべき内容だった」という見方をする。 「ステップ幅が少し狭くなり、以前のようにガチガチに力んだ姿ではなく、おそらく本人が投げやすいんだろうと感じるようなフォームからまとまりのあるピッチング内容を見せた。今春のキャンプで見たときにもうイメージが変わっていたが、これが彼の模索している新しいスタイルなのだろう。ポテンシャルは、メジャーでも通用するレベルの藤浪が、とりあえず“普通に投げた“ということを評価すべきだと思う。3月に新型コロナウイルスに感染し、その後、遅刻による2軍降格などもあり、1軍で姿を見るには時間がかかるだろうと思っていたが、こんなに早い段階で戻ってきた。彼の今季にかける気持ちが伝わってきた。続けて先発チャンスをもらうことのできる内容だったと思う」