357日ぶり先発の阪神・藤浪が5回まで無失点も逆転満塁被弾で敗戦投手…”明と暗”2つの顔をどう評価すべきか?
阪神の藤浪晋太郎(26)が23日、甲子園球場で行われた広島戦に今季初先発。5回まで無失点の好投を見せ、勝ち投手の権利を得たが、6回にピレラに逆転満塁本塁打を浴び敗戦投手となり2018年9月29日の中日戦以来となる白星を手にすることができなかった。試合後、矢野監督は、次回も先発起用することを示唆したが、“明と暗“の2つの顔をさらけだした藤浪の投球内容をどう評価すればいいのだろうか。
痛恨の154キロ
覚醒したカープの4割打者、堂林に投じた1球からおかしくなった。 6回一死一塁から堂林への4球目のカットボールがスッポ抜けてぶつかりそうになったのだ。ギリギリで堂林は回避したが、続く外角への変化球が大きく外れてフォアボール。ここまで安定していた藤浪が突如、乱れ始めたのである。福原投手コーチがマウンドへ向かうが、続く鈴木誠也にも、連続四球。一死満塁となって松山を迎えた。いきなりボールが3つ。2球目のストレートは、この日、最速となる156キロをマークし、まだ球威は十分にあったが、ストライクが入らない。“当ててしまってはならない“の心理的トラウマから、死球が崩れるという藤浪の悪いパターンが顔をのぞかせてしまったのである。 なんとかストライクを2つ続けてフルカウントになった。ここまで全球ストレート。変化球は、もうカウント球で使えなくなっていた。裏をかこうと梅野は変化球を要求したようだが、藤浪は、そのサインにクビを振った。 選択したのはストレート。外角低めに吸い込まれた154キロに松山は、手が出ず見送った。外野フライでも1点の場面で三振を奪ったが、もうストレートでしかストライクを取れないことを次打者の6番、ピレラに見破られていた。 「ストレートが来るんだろうと、そのタイミングでボールを待って打席に臨んだ。力強いストレートで押していたし、前の打席では、詰まらされていたのでね」 4回にはストレートに差し込まれセカンドゴロに終わっていたピレラは、2球目の外角高めの154キロを見逃さなかった。タイミングを少し早くとり、外国人特有の長い手を利用したパンチショットのようなスイング。 「フェンス直撃かと思った」と、ピレラが感じた打球は、低い弾道を描き、ライトポール際のスタンド最前列に飛び込んだ。大山の初回の2ランでもらっていた2点のリードが、一瞬にして消えた逆転満塁本塁打。甲子園は不気味に静まり返った。