アシックス着用者がナイキに並ぶ 箱根駅伝101回大会で一番履かれたブランドは?
今年で101回目を迎えた箱根駅伝。青山学院大学が、昨年の同校の記録を塗り替える形で大会新記録となる10時間41分20秒で8度目の総合優勝を果たした。大会では青山学院大学が王座を死守した一方、選手のシューズに目を向けてみると、ゲームチェンジが起こっていた。昨年まで「ナイキ(NIKE)」の座であった着用率1位に「アディダス(adidas)」が浮上し、次いで「アシックス(asics)」とナイキが追いかける形となった。 【写真】ナイキに並ぶ着用率となった「アシックス」のシューズ
各区間での上位10校の選手の足元を見てみると、アディダスの着用者が最も多く30人、続いてナイキとアシックスが27人と並び、昨年に引き続き「プーマ(PUMA)」が健闘し13人、「オン(On)」の着用者が3人となった(※編集部調べ)。 アディダスは、2005年に日本発のランニングシリーズ「アディゼロ」の開発をスタート。「箱根でのシェア1位」を目標に掲げ、開発を続けてきた。今回大会では、アディゼロシリーズの中でも、ブランド史上最軽量シューズの「アディゼロ アディオス プロ エヴォ 1」の着用が目立ち、上位10区間の100人の選手のうち、18人が同モデルを着用。“エースが集う華の2区”で区間賞を獲得した東京国際大のリチャード・エティーリは、同校の先輩であるイエゴン・ヴィンセントの2021年の記録を塗り替え、区間新記録を打ち立てた。 昨年に続く総合優勝で見事連覇を果たした青山学院大学の選手は、10人中9人がアディダスを着用。昨年同様、区間賞の走りを見せた太田蒼生はアディゼロ アディオス プロ エヴォ 1、6区で区間新記録を樹立した野村昭夢、8区で区間賞となった塩出翔太は、「アディゼロ エキデンコレクション」の「アディオス プロ 4」を着用して挑んだ。 また、アシックスもアディダス同様、昨年を上回る着用率となった。2021年の97回大会で着用者ゼロとなった雪辱を果たすため発足された、社長直轄のランニングシューズ開発組織「Cプロジェクト」による「メタスピード(metaspeed)」シリーズの新作「メタスピード パリ(METASPEED PARIS)」がその結果をけん引。5区で6位から3位に順位を上げる快走を見せた早稲田大の工藤慎作をはじめ、6区で区間2位となった駒澤大の伊藤蒼唯らが着用し、注目を集めた。 ナイキは、絶対的王者ではなくなったものの、アディダスに続く着用率で健闘。過去モデルの「ヴェイパーフライ ネクスト% 2」や、ファイヤーパターンをあしらった最新のエキデンパック仕様の「アルファ フライ 3」の着用も見られたが、特に目を引いたのが発売前の最新モデル「ナイキ ヴェイパーフライ 4」。同モデルを履いた中央大の吉居駿恭が、1区で1位を独走するなど、各区間で着用選手が続出した。5区で区間新記録の走りを見せ、1位に躍り出た青山学院大の若林宏樹もナイキを着用。スター選手に愛されるブランドならではの風格が垣間見えた。 アディダス、ナイキ、アシックスの“3強”に今にも届きそうなのが、プーマとオンだ。プーマは、昨年同様、パートナーシップ契約を締結している城西大学の選手が「エキデン グロー コレクション」の「ディヴィエイト ニトロ エリート 3」や「ファスト アール ニトロ エリート 2」を着用したことで、存在感を放っていた。オンは、駒澤大学のエースで7区を走った佐藤圭汰が「クラウドブームストライク(Cloudboom Strike)」を着用し区間賞を獲得。そのほかにも着用選手が散見され、今後、さらなる着用率の増加が見込まれる。 年々、激しさを増す“勝てる”シューズの開発。シューズ業界でもゲームチェンジの波が起きる今、選手のパフォーマンスを支える性能、また選手を視覚的に鼓舞するデザイン性は進化の一途を辿る。今年も、各社の次の一手から目が離せない。