ゲームはメンタルヘルス改善や人生満足度向上に効果 日大などがコロナ禍生かして研究
詳しく調べると、スイッチとPS5が家庭にある人とない人を比べると、前者のほうが、メンタルヘルスが改善していた。加えて、PS5よりもスイッチのほうが平均的な効果が大きかった。また、スイッチは若年層に恩恵が大きく、PS5は成人の独身男性において最も良い影響があることが分かった。
この結果について、江上助教は「スイッチは家族でプレイしたり、体を動かしたりできるソフトが多く、一方でPS5は没入感があり、ハードゲーマー向けのソフトが多いため、このような差が生じたのではないか」と考察している。
一方、1日あたりゲームをプレイする時間が長くなるほど、これらのポジティブな影響は薄くなっていることも分かった。ただ、長時間プレイする人がメンタルヘルスに課題があることは見出せなかったため、「ゲームを長時間することが孤独や引きこもりにつながるなどのイメージがあるかもしれないが、必ずしもそうとは言えない」と江上助教は話している。
オススメのゲーム 個別化でより幸福
一連の実験について、江上助教は「ゲーム機をあえて対象者に持たせて実験するのは難しい。コロナ禍という大変な時期だったが、『家にこもる』『ゲームをして時間を過ごす人が増える』という一瞬現れたチャンスを生かして、新しい科学的知見を得ることができた」と振り返る。今後は、スマホのゲームや、ゲームのジャンルによって幸福度やメンタルヘルスへの影響がどのように変わるか実験する機会があれば良いとしている。
さらに、「あなたへのオススメ」のゲームは商業ベースで行われている可能性が高いという実態に着目し、「メンタルヘルスなど、ウェルビーイングを高めるのに役立つゲームなどをレコメンドするシステムを構築したい」と今後の研究の展望を語る。家族と友人同士、個人でプレイしたときの違いや、オンライン・オフラインゲームによる違いについても調べたいという。
今回の研究は幸福度や精神面に与える影響を調べたもので、ゲーム機による視力や聴力などの身体機能への影響については加味していない。あくまでウェルビーイングという点に絞って研究し分析した結果をまとめている。