【妊活の本音】不妊治療のお金どうしてる?助成金はどのくらい? 専門家がアドバイス!
妊活中の30代女性が抱えるモヤモヤに対して、不妊治療や性、カップルを専門とする臨床心理士の戸田さやかさんにお答えいただきました。 【画像】妊娠、出産、不妊治療の現在についてチェック!
■不妊治療には、どのくらい助成金が出る? 保険適用になるのは? E美さん(30代後半 妊活歴2年、不妊治療歴1年) 不妊治療も最近助成金が出るようになりましたよね。ただ、私も実はよくわかっていなくって…。戸田さん、不妊治療の助成金システムは、現在どのようになっているのでしょうか? 戸田さん 国からの支援としては、今は条件付きですが不妊治療が保険適用になりました。あとは自治体によって、異なる条件や補償内容で助成金が出る場合がありますので、お住まいの地域について検索してみるといいですよ。企業によっては、福利厚生として妊活がサポートされる場合もあるので、お勤め先にも確認しましょう。あとは保険ですね。高度医療の特約や生命保険の特約が使えたりもするので、これも要確認ですね。 M子さん(30代中盤 妊活歴2年、不妊治療歴1カ月) 事実婚でも、保険適用になったんですよね。病院によって、事実婚を証明するのに必要な書類が違うようですが。私が通っていた病院は、私が排卵誘発剤を受け取るのにも、お互いの戸籍謄本を提出して、カップルで先生の説明を聞く必要がありました。 戸田さん 保険の条件に事実婚も含まれているので、本来は事実婚だからといって断ってはいけないはずなのですが、証明に求められるものは病院によって若干違うようです。基本的には二人の身分・独身であること・住所が同じであること・認知予定であることがわかる書類を出せば大丈夫なはずです。ただ、一人一人違う価値観や倫理観を持っていることと同じように、医師も人ですから考え方は異なります。病院選びの際に、確認してみるとよいかもしれません。 ■パートナーと金銭面で揉めたくない。どうコミュニケーションを取るべきか E美さん ただでさえ心理的、身体的な負担がある中で、さらに金銭的なことでパートナーと揉めたくないと思っています。何かコミュニケーションで気をつけられることはありますか? 戸田さん 不妊治療をしていると、費用を捻出するために「節約しなきゃ」「自分たちの楽しみを削って費用に充てなければ」と考えるカップルは多いかもしれません。ただ長期的に考えると、それではあまり健やかな気持ちで続けられないと思うんです。ある程度リフレッシュのために使うお金もキープすることを考慮に入れて、治療に使う総額の目処を立てるといいかもしれません。途中で見直していいので、一旦「これくらい使ったら、また話し合おう」というラインを決めておくんです。 E美さん なるほど、先が見えない支出が続くよりも、一度立ち止まる金額の目処を決めておくというのはいいですね。あと、仕事を続けていていいのかも気になります。お休みしたほうが治療に専念できるけれど、そうすると費用面に負担がかかるし。 戸田さん 男性は外で頑張って治療費を稼ぎ、女性は治療と家事に専念する、というカップルも多いですがその分担で揉めている場合もよくあります。女性の分の収入が減るのはもちろんですが、やりがいのあった仕事をやめて社会的な自分を失い、「いろいろなものを犠牲にしたんだから、絶対に授からなくちゃ」と女性側が追い詰められていくパターンもあるんです。「パートナーが稼いできてくれるから」と、本来は話すべきことや聞いてほしい自分の悩みや不満を相手に伝えづらくなる、という感情の交流の弊害も起きやすいです。 ですから、本当に両立が難しいのか、受けられるサポートはないのか、ちゃんと時間をかけて話し合ってみてください。職場に相談してみたら、思いもよらないサポートをしてくれることもないとは限らない。もちろん、それでも仕事をやめざるをえない場合もあると思うんです。そういった場合でも、女性にかかる身体的、精神的負担は大きいですから、そこに努力や犠牲の格差はあまりない、と考えていいでしょう。R佳さんやS太郎さんのように、「彼女の負担が大きいから、自分はそれを経済的に支えよう」という姿勢は、お互いにしっかり状況の共有ができている証だともとらえられます。 E美さん お互いが「こういうつもりだったのに」と、憶測ですれ違いが起きないように、ちゃんと話し合ってそれぞれの姿勢や二人の目的を明確にしておくのが鍵なのですね。 ▶【妊活の本音】不妊治療の病院の選び方、パートナーとの関係 もチェック! 公認心理師/臨床心理士/生殖心理カウンセラー/がん・生殖医療専門心理士/ブリーフセラピストシニア 戸田さやか 性や不妊治療を専門とし、カップル・家族の心理支援を行っている。<ファミワン>ではテキストやオンラインでのカウンセリング、自治体や企業に向けたセミナーを担当。不妊治療専門クリニック、精神科クリニックにも勤務。 イラスト/はらだももこ 画像デザイン/前原悠花 企画・取材・文/平井莉生(FIUME Inc.) 構成/種谷美波(yoi)