篠塚和典が考える坂本勇人のベストな起用法は? リーグ優勝を狙う巨人打線のポイントを語った
【打線のポイントは1番と4番】 ――岡本選手の状態はどう見ていますか? 篠塚 打率.270前後で本塁打が30~40本というのがアベレージのバッターだと思いますが、今季は本塁打が少ないですね。ピッチャーのレベルが年々上がってきていますし、「ボールが飛ばない」という話も出たりしていますから、今後は岡本に限らず本塁打が少なくなっていきそうです。ただ、大事なのは勝負所で打てるかどうか。4番バッターですし、いい場面で打ってくれればいいわけですから。 ――残り試合も少なくなり、優勝争いも佳境に入っていますが、打つほうでのキーマンを挙げるとすれば? 篠塚 キーマンが誰というより、上位打線、1番と4番がしっかりと仕事をできるかどうかです。打線でポイントになるのは1番と4番だと思っているので。ここを固めれば2番や3番、それと5番、6番、7番はある程度変えていってもいいのかなと。 ただ、1番の丸佳浩の調子もちょっと落ちてきているんですよね。なので1番を代える可能性もあるかなと思っていたら、(9月12日の広島戦では)スタメンから外されました。それぐらい1番は大事なんです。岡本は4番から外さないと思いますけどね。 ――2位の阪神との直接対決は2試合、3位の広島とは3試合を残していますが、すべて敵地での試合です。 篠塚 先制点を取ることですね。まずは試合のペースを握らなければいけませんし、残り試合のうち、先制点を何回取れて、いかに逃げ切れるか。先制点を取っても追いつかれると、ホームチームはファンが雰囲気を作って後押ししますから。 それと、相手のホームで逆転するのは思っている以上に難しいんです。9月11日のマツダスタジアムの試合では9回に9点を取って逆転しましたが、そうそうあることではないです。そういう意味では、やっぱり先制して逃げ切ることがポイントになると思います。 ――いかに最少失点にしのいで、1点ずつ積み上げていくかですね。 篠塚 たとえば、7回ぐらいで3点リードしていて、一死一塁になるとします。そこで走者を確実にセカンドに送って、二死二塁のシチュエーションを作ることもすごく大事になると思います。とにかく1点でも多く取って相手にプレッシャーをかけていく。特に7回、8回だと相手もいいピッチャーを出してきますから。 早いイニングでも相手のピッチャーから連打することが難しいとなれば、とにかくアウトカウントを増やしてでも先の塁へ送ること。これからは僅差の試合が続いていくでしょうから、少ないチャンスを活かして、1点をもぎ取っていく姿勢が大事です。 (投手編:菅野智之復活の理由、優勝争いのキーマン、ドラ1ルーキーの起用法は?>>) 【プロフィール】 篠塚和典(しのづか・かずのり) 1957年7月16日、東京都豊島区生まれ、千葉県銚子市育ち。1975年のドラフト1位で巨人に入団し、3番などさまざまな打順で活躍。1984年、87年に首位打者を獲得するなど、主力選手としてチームの6度のリーグ優勝、3度の日本一に貢献した。1994年に現役を引退して以降は、巨人で1995年~2003年、2006年~2010年と一軍打撃コーチ、一軍守備・走塁コーチ、総合コーチを歴任。2009年WBCでは打撃コーチとして、日本代表の2連覇に貢献した。
浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo