“卓球で不幸になる子”を出さない 強豪揃いの新潟で躍動するブルースカイジュニア「いじめの過去と今」
卓球をするために塾の先生に
――佐藤さんは、本業が塾の先生ということですが、塾の先生になろうと思ったきっかけを教えてください。 佐藤吉則さん:人が成長していく過程を間近で見ることができて、人生の節目に関わることができる魅力があるということと、午後からの仕事だからです。 15時ぐらいになると生徒が来はじめるのですが、午前中は基本的に空いてるから「夏休みとか冬休みだったら、午前中に卓球めっちゃできるじゃん!」って思って(笑)。 ――卓球中心の選択だったんですね。 佐藤吉則さん:はい。でも今思えば「平日の夜空いてる方が絶対いいよね」と思いますけど(笑)。 ただ、新潟に帰ってきてから塾に17年勤めた後、独立して自分の塾を立ち上げて今やっているんですが、その塾があるのはやっぱり卓球のおかげだなとすごく思いますね。 ――チームの生徒が塾にも来てくれるということでしょうか? 佐藤吉則さん:それもあるんですけど、おそらく卓球を中心に考えていなかったら、そもそも塾の先生になってなかったと思うんですよね。 塾と卓球チームだと「何を教えるか」は違いますけど、「人を指導する」ということでは共通点もあるので、そういう意味ではいい経験をさせてもらってるなと思っています。 指導者は生徒や選手がいてくれるおかげで、受験や卓球に関わることができるので、生徒や選手達、そして通わせてくれている保護者の皆さんには感謝しかないです。
指導方針は「卓球して不幸になる子を出さない」
――ブルースカイジュニアは小中学生が中心ですか? 佐藤吉則さん:年齢はバラバラですね。下は年中から、上は高校3年生までいるので。 練習も全員一緒にやります。 ――チームの指導方針はあるのでしょうか? 佐藤吉則さん:「卓球して不幸になる子を出さない」ということは1番に考えています。 卓球が強くなると、どうしても選手も親も天狗になることがあると思うんです。 けど、そうなるとその子は周りから応援されないし、その子の人生にもプラスにはならないと思ってます。 なので、「挨拶をちゃんとしよう」とか「整理整頓をちゃんとしよう」とか、そういう「人間的に成長する」ことをチームとしては大事にしていますね。 ――指導するとき、特に意識していることはありますか? 佐藤吉則さん:今の子どもたちって、家庭や学校であまり叱られていないんですよね。 だから叱られることへの免疫がない子が多くて、内容がどうであれ「怒鳴られた」ことに意識がいって、必要以上に落ち込んだりしてしまうんです。 なので「ダメなものはダメ」と注意はするんですけど、子どもと同じ目線に立って伝えられるように言い方は工夫しています。 ――確かに、言い方ひとつで捉え方は変わりますよね。 佐藤吉則さん:あとは、例えば県大会が終わって部活を引退した後って、「勝たないとダメ」というプレッシャーから解放されて、卓球自体がすごく楽しくなる時期だと思うんです。 なので、「地区大会とか県大会が終わったら卓球は終了」ではなく、ちょっとでも「長く卓球を続けたい」と思ってもらいたいとは、常日頃から思っていますね。 ――長く卓球を続けてもらうために、例えばどういったことを意識していますか? 佐藤吉則さん:中学生と高校生の会費を安くしていて、月に2,500円で「来たい時にいつ来てもいいよ」という感じでやっています。 ユニフォームの購入も強制じゃないので、クラブチームとしてはかなり自由にやってます。