「今の怒るところじゃない?」怒らなさすぎな日本人が、無意識のうちにしている“損”とは
怒らなさすぎな理由その2
怒らなさすぎの人が多い2つ目の理由は、自我が抑圧されすぎているから。 つまり、養育環境やこれまでの人間関係によって自我を抑圧されることが多かったせいで、怒りを感じにくくなっているというケースです。 そのケースでよくあるのが、親からの抑圧。 母親や父親が子どもに我慢を強要する育て方をすると、その子はどんどん怒りが封じ込められていきます。 最初は「そんなの嫌だ!」「こんなの耐えられない!」と思っていたことも、親が感情を受け止めてくれないから、そのうち怒りを表現することを諦めるんですよね。 サーカスにいる象がなぜ逃げ出さないのかと言うと、逃げられないことが分かっているから諦めているんですよ。 この状態に陥った象に対し、つなぐ鎖や杭をもろいものに変えたとしても、象は逃げ出さないんだとか。 この状態を「学習性無力感」と言いまして、人間も叶わないことがずっと続いたら「どうせ何したって無理だ」と諦めるようになります。 その諦める対象の一つになるのが、怒りなんですよね。 そこまでの状態に陥らなかったのだとしても、感情を抑圧される環境下で過ごしていると、自我はどんどん封印されていきます。 ちなみにこれは親だけではなく、恋人や友人など、他人が自我を抑圧してくるケースもあるので、支配的な人間に長い間関わると起こる現象だと言えます。
怒らなさすぎな理由その3
3つ目の理由は、相手とこじれるのが嫌だから。 これは、自分が怒ったことによって、その相手との関係が悪くなることを恐れているから、怒りたくても怒れないというケースです。 「嫌われたらどうしよう」 「ギクシャクしたらどうしよう」 「逆ギレされたらどうしよう」 「いじめられたらどうしよう」 「立場が悪くなったらどうしよう」 このように考えてしまい、怒るに怒れないんですよね。 日本人が怒らなさすぎなのは、このケースが一番多いかもしれません。 以前お話した、「パワハラしてくる相手の戦意を一瞬で奪う方法」。 内容を端的に言うと、「はっきり言う」「パワハラですよと指摘する」「パワハラ現場を録音する」というものだったのですが、反響が良かった反面、次のような意見がものすごく多かったんです。 「それができれば苦労はしない」「そんなのただの綺麗事だ」「被害者の気持ちを何も分かっていない」 このような意見を残した人はほぼ例外なく、自分が怒ったことによって、その後相手との関係が悪くなることを懸念していました。 相手とこじれることを恐れて怒れない人のほとんどは、すでに今現在相手との関係が悪いことに気づいていません。 「相手の機嫌がいいときは大丈夫だから」「自分が我慢すればいいだけの話だから」と思って、過剰に相手の顔色を伺っているのって、すでに良い関係ではないんですよね。 職場だけに限らず、夫婦関係や恋人関係でもこの状態に陥っている人って、実はものすごく多いんですよ。 実際カウンセリングをしていても、「揉めるのが嫌」「嫌われるのが怖い」「怒らせないかと不安」という理由で、「思っていることが言えない」「聞きたいことが聞けない」という女性がかなりいらっしゃるんですね。