今年はほとんど残業できず「収入減」なのですが、昨年の残業で「税負担」がキツいです…。解決策はあるのでしょうか?
残業は時間が多いほど収入が増えますが、その分支払う税金額も多くなります。特に注意したい点が、前年度は残業が非常に多く、今年度は残業がほぼなかったケースです。 前年度の収入を基に決められる住民税が、今年度の収入から引かれるため、結果として税金の負担割合が重くなります。今回は、残業の有無で給料や住民税の負担割合がどれほど変わるのかなどについてご紹介します。 ▼会社員で「年収1000万円」以上の割合は? 大企業ほど高年収を目指せる?
残業ありとなしで給料はどれくらい変わる?
今回は、以下の条件で残業があるときとないときの給料の差を比較しましょう。 ・残業手当を除く年収は600万円 ・1ヶ月の所定労働時間は160時間 ・賞与は考慮しない ・残業は月に20時間 ・残業手当以外の手当は考慮しない 厚生労働省兵庫労働局によると、月給制における残業手当(割増賃金)の求め方は「1時間当たりの割増賃金額=月給額(基本給+手当)/1ヶ月の所定労働時間数×1.25もしくは1.35」です。 なお、最後にかける数値を1.25として計算します。条件を基にすると、月給は50万円です。計算式に当てはめると「1時間当たりの割増賃金額=50万円/160時間×1.25」なので、1時間につき約3906円の残業手当が発生します。 残業時間は月に20時間のため、残業手当は毎月7万8120円、年換算で93万7440円です。残業手当を含めた年収は693万7440円なので、残業手当がない場合の年収と比べて100万円近い差になります。
残業の有無で住民税額の負担はどれくらい変わる?
給料から引かれる税金のうち、源泉徴収される所得税は、その月に会社が支払った給与から社会保険料などを引いた金額と扶養人数を基に決められる金額です。 対して、住民税は前年の給料を基に計算され、当年度6月の月収から引かれていきます。 そのため、当年度の収入が前年より大きく減少したときに影響を受ける税金は住民税です。特に、前年は残業時間が多く、今年度は残業がほぼないといった状況だと、収入に対する住民税の負担割合は6月から大きくなる可能性があります。 東京都在住の40代の方が先ほどと同じ条件だったとして、残業の有無による住民税の負担割合を比較しましょう。ただし、社会保険料控除、給与所得控除と基礎控除以外の控除はないものとします。 住民税額を求めるには、社会保険料と給与所得控除の計算が必要です。年収693万7440円だと月収は57万8120円となります。 月収を基にすると、厚生年金保険料は月5万3985円、健康保険料および介護保険料は合計で月3万4161円、合算した年額は105万7752円です。雇用保険料は年収の0.6%で年に約4万1625円なので、社会保険料は年109万9377円になります。 給与所得控除は、今回の年収だと「収入金額×10%+110万円」で求められるため、179万3744円です。また、住民税の基礎控除は43万円になります。社会保険料控除と給与所得控除、基礎控除を引いた361万4319円が住民税の課税対象です。 住民税は「課税金額×10%+5000円」で計算します。そのため、残業をしていた場合に収入から引かれる金額は約36万6432円です。 残業をしていたときの年収に対してだと、住民税が占める割合は約5.3%でした。一方、もし同じ住民税額で残業手当がなくなると、住民税の負担割合は約6.1%まで増加します。