アート破壊の常習犯がアイ・ウェイウェイの展示作品を破壊。公然わいせつ罪での逮捕歴も
イタリアで開かれた反体制アーティスト、アイ・ウェイウェイの招待制の内覧会にて、美術館に展示されていた陶器製の作品が男によって意図的に破壊された。 9月20日に破壊された作品は、ボローニャのパラッツォ・ファヴァで行われている展覧会「Who am I?」に展示された、《Porcelain Cube》と題された青と白の作品だった。 アイ・ウェイウェイのInstagramには、男が作品を支える台座に足をかけ、作品を押し倒して粉々に破壊する様子をとらえた監視カメラの映像が投稿されている。男は作品を破壊したのちに、その一部を頭の上に掲げた。 ミラノに拠点を置く日刊紙コリエーレ・デラ・セラのボローニャ版は、この男をヴァーツラフ・ピスヴェイチ(57)と特定し、彼は作品を破壊したのちに美術館の警備員に取り押さえられ、警察が到着するまで拘束されていた。コリエーレ・デラ・セラ紙によると彼は、「文化財・景観資産の破壊、散逸、劣化、汚損、汚染、不正使用」の容疑で逮捕されたという。 ピスヴェイチは以前にも芸術の破壊行為を行っており、2018年にはフィレンツェでアーティストのマリーナ・アブラモヴィッチの頭上に絵画を叩きつける事件を起こしたほか、2023年にはフィレンツェのシニョリーア広場にある《ヘラクレスとカクス像》に全裸で登り、公然わいせつ罪で逮捕されている。アイ・ウェイウェイ展のキュレーターであり、フィレンツェのパラッツォ・ストロッツィ財団の総裁を務めるアルトゥーロ・ガランシーノはロイター通信に対してこう語る。 「残念ながら、私はこの無神経な行動を取った犯人が誰だか知っています。フィレンツェのさまざまな展覧会や文化施設が長年にわたって巻き込まれてきた不快かつ有害な出来事を起こしてきた犯人ですから」 作品の破壊を目にした後、アイ・ウェイウェイは「彼の身を案じます。陶磁器の破片でけがをしていなければいいのですが」と、コリエーレ・デラ・セラ紙に語っている。破壊された作品は撤去されているが、《Porcelain Cube》が展示されていた場所には作品の写真が展示される予定だ。