【Bリーグ開幕特集 シーホース三河】中地区の雄、再び!主力選手の慰留に成功し、ライアン・リッチマン指揮下での2年目の挑戦へ
オフェンスの三河をディフェンスチームに変貌させ、3季ぶりにCS出場!
ライアン・リッチマン体制となり新しい船出となった2023-24シーズン、スタッツで見る最も大きな変化はディフェンス力の上昇だ。 100回攻撃された場合の平均失点を表すディフェンシブレーティングは、リーグ6位(105.2)へ急上昇。興味深い点は、ディフェンスの傾向が変わっていないところだ。被3ポイント試投割合は2シーズン連続でリーグトップクラスで、2022-23シーズンはリーグ2位(39.5%)、昨シーズンはリーグ1位(42.6%)と得点効率が高い3ポイントを多く打たれているように見える。しかし、その被決定率はリーグ19位(32.0%)と非常に低く抑えられている。2ポイントシュートも、ペイントエリアからの失点割合はリーグ16位(43.4%)からリーグ21位(40.6%)へ減少し、こちらのディフェンス力も向上した。 インサイドを固く守ると外へのキックアウトパスに弱くなり、良い形での3ポイントを打たれることが多くなるはずだ。しかし、被決定率の低下を見るに、リッチマンHCがディフェンスローテーションを浸透させることに成功したと言えるだろう。今オフには外国籍選手と出場時間の多かった日本人選手の契約継続に成功した。日本国籍を取得したモッチ・ラミンと契約することで待望の帰化枠選手が加入。インサイド陣が強固になるとともに、個々への負担を軽減できる形となった。 中も外も攻めることが可能なバランスの良いオフェンスが三河の特徴ではあるが、高確率の2ポイントに比べて3ポイント決定率が若干低い傾向が昨シーズンは見受けられた。ここのウィークポイントを払拭する為、高い3ポイント成功率を誇るリーグ有数の3&D選手である須田侑太郎と契約。強固なディフェンスはそのままに、オフェンスのレベルアップとケミストリー向上を計っている。 全試合出場していたイ・デソンの退団こそあるものの、須田に加え、角野亮伍、B3立川ダイスから抜擢された若手の元澤誠の活躍に期待したい。上位進出チームが全く読めない今シーズンの中地区だが、継続路線のアドバンテージを持つ三河は安定して勝ち星を重ねるだろう。 【注目選手】 ダバンテ・ガードナー 2023-24シーズン、平均28.0分出場、18.5得点、7.1リバウンド、3.3アシスト。言わずと知れたリーグを代表するスコアラーで、ディフェンスの有無に関係なく理不尽なオフェンスを突きつけてくる選手。昨シーズンはキャリア最多の3ポイント試投数と成功率を記録しており、理不尽さに磨きがかかっている。平均出場時間は28.0分と2016-17シーズン以来の少ないプレータイムであったが、これはガードナーをタイムシェアできるチームを作り上げた結果であり、チャンピオンシップを見据えるにあたっては好材料だろう。シュートタッチの調節に時間を要さないため、途中出場したポゼッションから活躍できるところも特筆すべき点だ。 西田公陽 2023-24シーズン、平均6.0分出場、0.8得点、0.3リバウンド、0.2アシスト。言わずと知れたエース西田優大の実弟が特別指定から本契約を獲得。第23節、秋田ノーザンハピネッツ戦での先発出場を含め、チームに合流後の約10試合は10分を超えるプレータイムを得ていたものの、終盤に差し掛かるにつれてプレータイムは減少した。得意とする3ポイントも本調子とは言い難いシーズンであったが、起用方法を見てみるとガードへのコンバートを見据えているように感じられ、本契約を結んだ背景にはそういった長期的な視点もあるだろう。 須田侑太郎 2023-24シーズン、平均25.0分出場、10.1得点、1.9リバウンド、1.5アシスト。昨シーズンはキャリア最多得点を更新。合計392本の3ポイントを放ち143本を決めたこちらもキャリア最多。それぞれ100本以上放っている両ウィングからの3ポイントは、右が37%、左が38.6%と非常に高確率。オフェンスももちろんだが、ビッグマンに対して身体を張れるディフェンスは、チーム戦略に幅を持たせることができる。攻守に渡って三河のチーム力底上げを期待される選手だ。
しんたろう