2024年クラウドAIを巡る5つのトレンド:想像を超えるスピードと規模感でAIが現実のものに
クラウドAIは想像より遥かに早いスピードで現実のものになっている
レポートの最後に、べッセマー社はクラウドAIをめぐるこれら5つのトレンドは、私たちの実感よりも早く現実のものになっていることに注意すべきだと述べている。 ドットコムからナノテク、ブロックチェーンまで、これまでの新規テクノロジーはまず話題性だけが先行するハイプ(誇大宣伝)の時期があり、その後長い時間が掛かってようやく実際のプロダクトがハイプに追いつく、という順序を踏んできた。しかしAIについては、既に前例のないレベルであらゆる分野に組み込まれつつあり、「現実の方がハイプよりも速く進んでいる」とべッセマー社は警鐘を鳴らす。 例えば2023年時点でべッセマー社は、AIネイティブ企業は従来のクラウド企業の半分の時間で、10億ドルの収益に到達すると予測していた。これは当時としては相当に大胆な予測だったが、現実はそれをも遥かに超えていた。OpenAIは2024年2月に早くも収益20億ドルに達し、6月には年間34億ドル相当になると報じられている。Anthropicも24年末までに8億5,000万ドルの年間収益に達すると報じられ、MidjourneyやCharacter.aiも2億ドルの収益規模になると推定されている。
将来的にAIを組み込むことを想定したプロダクトや業務設計が重要に
べッセマー社のレポートを受けて、あらゆる企業や組織は、AI分野の動きを注意深く監視し、自社のプロダクトや社内ツールにAIソリューションを組み込むための準備をしておくべきだ、とVentureBeatは結論付けている。 つまり、プロダクトや業務設計の際に、将来的にAI技術をモジュール的に組み込むこと想定して構築することが重要だという。そうすれば、自社にとって有効なAIソリューションがリリースされた時に、その技術を簡単に埋め込むことが可能になり、時間とリソースを節約することができる。 裏を返せば、あるAIソリューションがローンチされて初めて、自社のプロダクトにどう組み込むか、どう活用するか、と考え始めるような悠長なことはできない市場環境になってきているということだ。 この1~2年でクラウドAIを取り巻く技術は大きく進化し、様々なAIソリューションが現実のものとして急速に立ち上がり始めている。企業側も、これまでの新規テクノロジーとAIではスピード感、規模感、影響力が桁違いであることを十分に認識し、その取り込みに向けて準備を加速させなければならないだろう。
文:平島聡子 /編集:岡徳之(Livit)