【設計×生成AIの凄い世界】オートデスク/PTC/ダッソー・システムズの先端技術の秘密
PTC(1):マスカスタマイゼーションを手軽にする方法
PTCは企業のGenerative Designを下記のように5段階に分けて定義している。現在、Generative Designによる自動生成の対象となる製品は、3Dプリンターによる製造部品や、航空機部品など、特定の部品単位に限られている。 しかし、同社はこの活用領域を大きく広げていき、今後、複数部品の組み合わせによる自動設計生成や、システムレベルでの自動設計、複合部品を活用する最終製品の自動設計にまで進化していくことを目指しており、それがこの5段階に表れている。 ■PTCが考える「Generative Design」の5段階 【Level 0:単品部品】トポロジー最適化(設計の配置最適化) 【Level 1:単品部品】製造可能なトポロジー最適化 【Level 2:複数部品】複数部品の組み合わせでのGenerative Design 【Level 3:複数部品】複数部品のGenerative DesignとAIによる解析・分析 【Level 4:最終製品】システムレベルでのGenerative Design 【Level 5:最終部品】自然言語による完全自律設計の実現 同社の考えるように、設計自動化の適用範囲が広がっていくことで、モノづくりのプロセスは大きく変化していくことが想定されている。たとえば、顧客のニーズなどに合わせた設計の個別対応も、Generative Designで効率的に対応することができる。これが、マスカスタマイゼーション(顧客個別要求対応)の実現につながるかもしれない。
PTC(2):カミンズ社の「設計自動化」の事例
実際に、PTCのGenerative Designを活用し、マスカスタマイゼーションを実現した事例がある。ディーゼルエンジンや発電機などの製造企業であるカミンズ(米)は、対企業の個別カスタマイズの案件の受注が多く、顧客仕様に合わせた設計変更などに工数・負担がかかっていた。 そこでPTCのGenerative Designを活用し、顧客仕様の設計カスタマイズを効率化。共通モジュール部分についても設計自動化により軽量化と強度を両立した設計への変更を進めているほか、材料・資料量削減にもつなげている。さらに、顧客ごとの変動部分も効率的に自動設計を行うことで、マスカスタマイゼーションを実現している。 また、カミンズ社は上記のオペレーションを実現する上で、設計自動化のための専門人材を登用している。専門人材というのは、Generative Designにどのようなデータを学習させて、どういった制約条件を与えると求める設計が抽出できるのか、などの検討に強みを持つエンジニアのことだ。要するに、設計自動化における「プロンプトエンジニア」と言える。 この事例から分かるように、今後、幅広い領域で設計自動化が進む中で、こうした各機能における自動化のプロンプトエンジニアの存在が重要になっていくかもしれない。