【設計×生成AIの凄い世界】オートデスク/PTC/ダッソー・システムズの先端技術の秘密
オートデスク(1):工数を短縮する「大規模製品モデル」
オートデスクは、設計者が求める製品が何であるかを理解し、製品の動作原理、製造方法、関連する制約などの要件を加味して、まったく新しい製品設計案を提示してくれるGenerative Designを開発した。これは、設計を自動化してくれるだけでなく、強度計算やコスト計算も行ってくれる仕組みとなっている。また「大規模製品モデル(LPM:Large Product Model)」を活用したAI機能も提供している。 一般的に、設計者は60%の時間を図面作成の工程に使っていると言われており、それだけこの工程には改善余地があった。そうした業務工程においてLPMを活用すれば、製品設計や図面生成・図面への寸法追記などを自動化してくれるほか、設計データに基づく工作機械のパス(製品加工における加工ルート)を自動生成してくれるなど、製造工程においても作業の効率化に貢献してくれるのだ。 これまでLPMは、少ロットかつ「特殊な形状・製法」で作られる製品領域において活用が進んでいた。たとえば、航空機部品やインフラ部品など、金属向け3Dプリンターなどを使って製造するような製品領域だ。最近では、切削加工や鋳造加工などへの適用も進み、現在では自動車業界をはじめ、量産品に対しても適用が進んできている。 そのほか、オートデスクは製造業の製品だけに留まらず、建物や都市などの計画、設計を支援するAIツールも開発・提供している。現在は単品部品のモデリングへの適用に留まるが、今後は複合製品を組み合わせた製品・部品の設計や組立の検討など、適用範囲を広げていく予定とのことだ。それにより、設計知識を持たない、経験の浅いユーザーであっても製品設計を担える世界を目指す。
オートデスク(2):建設・都市設計業界の事例
AIの活用は建設業や都市計画においても活用が進んでいる。オートデスクForma、都市設計に生成AIを採用し、ユーザーが複数のデザインを検討し、ユーザーの基準や環境への配慮に基づいて最適な選択肢を選択できるようにしている。建物の設計においては日照条件や、騒音状況、風の吹き抜けなどが最適化される建物の設計パターンの土台を提示することができる。 また、オートデスクとは別だが、同様に大手ゼネコンについても建設の初期設計を支援する取り組みを進めている。下記がその一例だ。 ・大林組 スケッチや3Dモデルからさまざまなファサードデザイン(建物の正面から見た外観)を提案できるAI技術 AiCorb ・清水建設 設計初期段階における鉄骨造の構造検討業務を支援するAI「SYMPREST」