【設計×生成AIの凄い世界】オートデスク/PTC/ダッソー・システムズの先端技術の秘密
エヌビディア:製造ライン・生産技術の「設計」も効率化
Generative Designは製品や建物のみならず、製造技術のノウハウの塊とも言える、複雑な製造ライン・生産技術の分野にも広がろうとしている。 下写真は、クリエイターが写真やデザインなどのグラフィックを活用し、製品製造をシミュレーションするために作られた、産業用メタバースプラットフォーム「Omniverse」(NVIDIA)の利用時の画面だ。 ユーザーが生成AIに製造ラインの求める要件を指示することで、製造ラインの3Dデザインのたたき台が生成される。これにより製造業のあり方や、ライン導入を支援するロボットSier・ラインビルダーの産業構造が大きく変わるポテンシャルが存在する。
工数短縮だけじゃない?Generative Designの“あるメリット”
新規の設計とともに、既存の設計の改良・ブラッシュアップや環境対応化も先述のGenerative Designの活用が有効だ。下写真がダッソー・システムズの設計ツールの仕組みを活用した自転車の設計バーチャルツインであるが、テキストや音声認識で軽量化を指示すると、既存の設計をベースにした上で軽量化された設計改良案が提示される。 今後、設計においてサステナビリティが求められる中で、軽量化や、リサイクル品の活用など環境負荷の高い設計への変化が求められる中で、こうした生成AIを活用したGenerative Designの活用の重要性はより増していく。 一方、PTCによると「製品の環境負荷の80%は製品設計で決定」されるという。そうした中、Generative Designを活用を進めることで、既存の製品設計から材料使用量を削減することができる。なお、Generative Desingnによって環境負荷低減につながり得る項目としては以下の通りだ。 <Generative Designと環境負荷低減の関係性(出所:PTC)> ・軽量化設計、材料使用量の削減 ・製品に活用されている素材の再生可能素材への置き換え ・製品回収時の分解可能性の向上 ・CO2排出の小さい調達品・部品の選択 ・モジュール設計による再利用性・部品循環の向上 こうした細かい設計変更を通じた環境負荷の低減対応は相当な工数が必要となる。人手不足の中、従来の方法では限界が生じる。これらをGenerative Designを活用することにより負荷を最小化して効率的に対応することが求められる。