【設計×生成AIの凄い世界】オートデスク/PTC/ダッソー・システムズの先端技術の秘密
ダッソー・システムズ(1):写真・スケッチから設計を生成
ダッソー・システムズでは、同社が提供する設計プラットフォーム上で、設計の自動化につながる機能を提供している。この機能は、生成AIによる言語指示とGenerative Designの仕組みを活用している。 この機能に加えて、手書きのスケッチから設計を自動生成できる機能もある。スケッチを基に、設計についての要件指示などを行うと、Generative Designによって設計の候補が自動生成される。要件を指示する際は、生成AIをベースにした「文字+音声認識」を活用する仕組みだ。 これにより、今までの製品設計・デザインプロセスが大きく変わることが想定される。 さらに写真からスケッチを自動生成し、そこから製造可能な図面を生成することも行われ始めている。これら機能の活用により、ユーザーとしては、大幅に設計のプロセスを効率化することや、生成設計からインスピレーションを得てよりブラッシュアップした設計を検討することが可能となる。 同社は生成AI企業としては仏Mistral AIと連携し、ユーザーの設計データや設計にもとづくノウハウの検索・抽出にも取り組む。Generative Designと、言語系生成AIの掛け合わせにより設計のあり方を大きく変えていく方針だ。
ダッソー・システムズ(2):家具業界の設計自動化の事例
こうした技術などにより設計のハードルが下がることで、モノづくり自体が製造業ではない業界に広がり、民主化していく可能性が家具業界から示されている。 たとえば、バーチャルツインと生成AIの技術を組み合わせて開発された「HomeByMe」と呼ばれるプラットフォームがある。これは、インテリアのデザインや、家具の配置、製品の装飾などのヒントを得ることができるプラットフォームだ。 ユーザーはスマートフォン上で同アプリケーションを起動し、自分の部屋をスキャンすると、AIエンジンを活用したGenerative Designが、部屋のレイアウトや配置などを家具の設計とともに自動生成してくれる。さらに、ユーザーは提示されたデザイン案からレイアウトを選択したり、デザイン案を組み合わせたりしながら、好みのデザインに変更していくこともできる。 加えて「MakeByMe」では、スキャンしたデータから家具の設計データを自動生成し、そのデータを基に製造を行うこともできる。顧客ごとのニーズに合わせたカスタマイズ製造を高効率に実現するマスカスタマイゼーションが、「バーチャルツイン×生成AI」によって加速する可能性があることを示している。 2010年代、3D設計と3Dプリンターの誕生をキッカケに、誰もが手軽にモノづくりをできる「メイカーズムーブメント」が起こった。いわゆる「モノづくりの民主化」だ。とはいえ、その時代の技術では、モノづくりを行う人に3D設計ノウハウが必要であり、完全に「モノづくりが民主化された」とは言えない状況があった。 しかし、同社の「生成AI×バーチャルツイン」による技術では、写真やスケッチから図面を生成し、製造までつなげてくれるため、「モノづくりの民主化」が進む可能性がある。