子どものやる気引き出す声掛け 「押しつけ」と「意識づけ」の大きな違い
少し難しい話になるかもしれませんが、この意識づけは、大きくふたつに分けることができます。 ひとつは、先ほどのようにみなさんが直接お子さんに声をかけるなどして、その気にさせていく場合です。 一番わかりやすい例は、やっぱり「ほめる」と「注意する」ではないでしょうか。 そのほかにも、教えたり、説明したり、問いかけたり、なども該当します。 これらに共通するのは、みなさんとお子さんが直接やりとりをすることで意識づけをしていこうとする点です。 そのため、この意識づけを「直接的な意識づけ」と呼んでいます。 もう一方で、みなさんとお子さんが直接やりとりをするのではなく、みなさんが提供した機会に参加したお子さんが、自分自身で何か大切なことに気づける場合です。 一言で言うなら、お子さんにとってのなんらかの「体験」になります。ひょっとしたら、みなさんご自身も○○教室や□□プログラムのような体験をとおして、以前と少し変わったような気がする、といった実感をお持ちの方もいらっしゃるかもしれませんね。 子どもだけでなく、大人にも十分起こり得ることです。 このような意識づけについては、みなさんとの直接的なやりとりではないので、「間接的な意識づけ」と呼ぶようにしています。 ちなみに、○○教室などをイメージすると、何やらとてもお金がかかってしまう印象があります。 しかし、子どもたちにとって最も大切な体験は、お金をかけた特別な体験ではなく、自分が楽しいからやっている自由な体験、つまり遊びだと私は考えています。 以上のとおり、直接的な意識づけと間接的な意識づけを通じて、私たち大人と子どもたちが「価値」を共有することができれば、子どもたちは自分の中で必要なことを意識して、自分に必要な非認知能力を伸ばしていけるようになるでしょう。 なお、このような意識づけの考え方は親子関係だけではありません。教師や保育者と子どもとの中でももちろんですが、何より大人同士でも同じことがいえます。地域やお仕事先などの大人同士のやりとりのときにも活かしてみてください。
中山芳一(All HEROs 合同会社代表)