「障害者の仕事が減った」悩む企業が新たな挑戦 働きやすい環境に、IT人材も #令和に働く
企業が障害者の雇用に頭を悩ませている。一定規模以上の企業には、法律で障害者を雇うことが義務付けられていて、その割合(法定雇用率)が近年、続けて引き上げられているからだ。現在は2.5%。100人の会社なら3人雇わないと法定率を達成できない。2026年には2.7%に引き上げられることが既に決まっている。 ITやAIの登場、業務の効率化を受け、障害者が従来担ってきた単純作業が少なくなっているという事情もある。そんな中、ユニクロが新たな試みを始めたという。人材紹介大手のパーソルグループは障害者をIT人材に生かし、あのお菓子メーカーが採用した。どんなことをしているのか。現場に行ってみた。(共同通信=市川亨)
「職域拡大」で店頭へ
店頭での商品陳列や清掃、お客さんの案内…。東京都杉並区にあるユニクロ店舗で志賀美怜さん(21)=仮名=が動き回っていた。見たところ、他の店員と特に変わりはない。 志賀さんは高卒後、コンビニでのアルバイトを経て昨年春、ユニクロに入社。週5日、準社員として働く。軽い知的障害があり、以前は商品の保管室で段ボール箱に入った服を一つ一つビニール袋から取り出す作業を主に担っていた。 ところが、昨年秋からユニクロは業務効率化と働き方改革の一つとして、商品を店舗に配送する際、1個ずつビニール袋に入れるのではなく、まとめて包むといった形に変更。多くの企業と同様、「効率化により、障害のあるスタッフにやってもらう仕事がなくなる」という現実に直面した。 そこで取り組んだのが「障害者の職域拡大」だ。障害の特性に合わせて指示や工夫をすれば、ほかにもできる仕事はあるのではないか。そう考えて「職域拡大ガイドブック」を作成。具体的な取り組み方を記した。 これを受け、志賀さんも保管室だけでなく店頭に出て働くように。女性のインナーコーナーを担当している。「前からお店に出て働きたいと思っていたので、うれしい。できることがだんだん増えてきた」と笑顔を見せる。