「障害者の仕事が減った」悩む企業が新たな挑戦 働きやすい環境に、IT人材も #令和に働く
ほぼ全店に障害者が1人いる
実は、ユニクロは障害者雇用の世界ではちょっと知られた存在だ。2001年に「全ての店舗で1人、障害者を雇用する」という目標を掲げ、国内のユニクロとGU約1200店のほとんどで障害者が働いている。 半数以上の人は10年以上勤続。ファーストリテイリングのグループ全体で雇用率は4・89%(昨年6月現在)と、法定の2・5%を大きく上回る。 ただ職域拡大に伴い、障害のあるスタッフが店頭で働くようになると、新たな課題が出てきた。約7割は知的障害で、外見では分からない。「店員に商品のことを聞いても、ちゃんと答えてもらえなかった」といった声が客から届くようになったのだ。 志賀さんも男性客から突然話しかけられると、ドギマギしてしまうことがある。担当の女性インナーのことなら問題ないが、予想外の質問に答えるのは難しい。困ったときはインカム(小型無線機)で他の店員を呼ぶようにしている。 会社は障害のある店員向けに「私はサポートスタッフです。他のスタッフを呼んできますので、少々お待ちください」と書いた札を用意。全員ではないが、希望者は身に付ける。ファーストリテイリング広報部の伊藤弘喜さんは「障害のある人が当たり前に働いていることをお客さんにもご理解頂ければ」と話す。
「脳・神経の多様性」って何?
「IT化やデジタルトランスフォーメーション(DX)で障害者の仕事がなくなる」という状況に逆張りで挑むのが、パーソルグループだ。発達障害や精神障害がある人をIT人材に育てる事業に取り組む。 2019年から障害者の就労移行支援事業所「ニューロダイブ」を運営。東京、大阪、福岡など5カ所で約100人が利用する。原則2年の利用期間中に機械学習やAI、業務の自動化など先端ITのスキル習得を目指すのが特徴だ。 事業所の名前は「ニューロダイバーシティー」(脳・神経の多様性)という概念にちなんでいる。「脳や神経に由来する個人の特性の違いを多様性と捉えて尊重し、社会の中で生かしていこう」という考え方だ。