新星・上薗恋奈はフリー進めず「悔しい」 三宅咲綺は高橋大輔の「根性」学び躍進...全日本女子の舞台裏ストーリー
「フィギュアスケーターにとって夢の場所」。それが全日本選手権という舞台だろう。たどり着くために心血を注ぎ、出場するだけでも栄誉だが、いつしか表彰台の高いところに立つ誘惑にも駆られる。そこには当然、濃厚な光と影が出る。 <写真多数>上薗恋奈、三宅咲綺…全日本フィギュア2024フォトギャラリー ショートプログラム(SP)からフリー、その狭間だけでも物語は生まれる。それは勝者だけでつくるものではない。"敗れざる者"がいることで成立するのだ。 【前回躍進の上薗恋奈は悔しい結果】 ジュニアの14歳、上薗恋奈は「彗星のように現われた」スケーターと言えよう。昨年の全日本では、13歳で総合4位に躍進。少女ながら大人顔負けの表現力を見せ、脚光を浴びることになった。 「5歳からスケートを始めて。五輪での金メダルという夢を掲げました。今もその目標に向かってやっています!」 今年5月のインタビューで、上薗はそう明かしていた。「トリプルアクセルにも挑戦したい」と野心的に言い、夢には思えないほどの現実味があった。 しかし、今回の全日本ではSPで26位と低迷した。3回転ルッツで転倒、ダブルアクセルは成功も、フリップトーループのコンビネーションジャンプも思うようにいかなかった。スピンはオールレベル4で地力を見せたが、24位以上のフリー進出の道を阻まれた。 「ジャンプが決まらず、悔しい試合になってしまいました。力が入ってしまったのかなって」 演技後、上薗は必死に言葉を紡ぎ出した。今年は全日本ジュニア選手権でも5位(昨年は3位)だった。心身ともに成長するなか、アジャストさせるのは簡単ではない。 「坂本花織さんのあと(の順番)で滑らせてもらったのは、すごくいい経験で。いつもの花織ちゃんとは違う雰囲気で、自分でもオン・オフを切り替えられるようにしていきたいと思いました。次の試合では納得できる演技ができるように」 14歳はすでに前を向いていた。あらゆる経験が彼女を成熟させるはずだ。