新星・上薗恋奈はフリー進めず「悔しい」 三宅咲綺は高橋大輔の「根性」学び躍進...全日本女子の舞台裏ストーリー
【中井亜美は涙のSPから巻き返し】 SPが終わったあと、溢れ出す涙をティッシュで拭いていたのが、ジュニアの16歳、中井亜美だ。得意のジャンプで得点を伸ばせず、21位スタートだった。 「(フリーまで)1日空いて、気持ちを切り替える時間はあるので。まずはリベンジって自分に言い聞かせて......絶対にトリプルアクセルを2本決めます」 中井は震える声で言った。 「フリーに通れたからには、やるしかないって。最後は気持ちかなって思っているんで。4分間は一瞬だし、後悔したくないから、笑顔で終われるように」 そしてフリーで中井は、トリプルアクセルを2本降りた。宣言どおり、1本目はトーループとのコンビネーションだった。結果、フリーは12位と巻き返し、総合15位にまで順位を上げた。大会後には、世界ジュニア選手権出場も決まった。 夢の舞台である全日本では、SPからフリーの狭間でもいくつものドラマがあった。道を閉ざされた者も、挽回できた者も、そこで生まれる思いが彼女たちを研磨する。氷上で輝く、敗れざる者たちの物語だ。
小宮良之●取材・文 text by Komiya Yoshiyuki