「驚異の60歳」がくびれウエストとヒップでグランプリ 大会前は左手手術や膝の怪我のアクシデントも
「昨年の日本大会の後に、『私はグランプリを獲る』と決めていました。獲りたいではなくて、獲る。新しい世界を見に行こうって」 【写真】仁ノ岡紀代美さんの細いウエスト
ベストボディ・ジャパン協会が主催する『モデルジャパン2024日本大会』が11月24日両国国技館で開催された。プラチナクラス(60歳以上~年齢無制限)では競技を始めて11年目の仁ノ岡紀代美(にのおか・きよみ/60)さんが初のグランプリを受賞した。 「2014年からクイーンクラス(45歳~年齢無制限、2016年からは50歳~59歳)で戦ってきました。今年からプラチナクラスになり、一番年下なので、これはチャンスだ、このチャンスをつかまないわけにはいかないと思っていました」 そんな仁ノ岡さんに6月、アクシデントがあった。CM関節症(母子CM関節症※)で利き手の左手を手術することになったのだ。 ※親指の付け根にある関節の軟骨のすり減りによって生じる疾患 「手術で1週間入院しました、手術後何カ月経っても痛みが取れません。痛みだけでなく、左手で表現をしようと思っても細かいところまで動かず、手首も動かないのです。お医者様に日本大会には間に合わない、と言われたときは頭が真っ白になってしまいました」 大会の7日前には出勤途中にエスカレーターで転倒、膝を打って、手も膝も痛みのある状態で本番を迎えることになる。 「前日のリハーサルレッスンのときに先生から、ベテランらしく堂々と、と言われ、本番のステージでは『自分はライオン。自分は野生の王者』と言い聞かせました。痛みがあっても私は前にしか進まない、もう怖いものはなにもないという気持ちでした」 仁ノ岡さんは7年前に舞台照明の仕事をしていたご主人を亡くしている。かつてご主人の勤めていた会社が照明を担当していた3年前の大会で、体調が悪くてハラハラしながらステージに立ったとき、下から足を支えられているような感覚があったという。今回もご主人からの見えない応援を感じたそうだ。 「前日のリハーサルで、照明がいつもよりも強烈だと感じました。ライティング、めちゃくちゃ気持ちいい!当日もたくさん私にライトを当てて、って思っていました」 不思議なことに当日は「手も膝も痛みを感じなかった」という仁ノ岡さん。11年、休むことなく日本大会に挑戦し続け、ついにグランプリ受賞となった。 「一生体験できないと思っていたオーバーオール(各クラスのグランプリが並び総合グランプリを決める)のステージに立つことができて新しい世界を見ることができました。私の中ではものすごくうれしい経験でした」 ベテラン選手の快挙には本人以上に周りも喜んだ。 「元ベスボ選手から『おめでとう』と連絡をいただきました。長く続けていてグランプリをつかんだという道のりに共感してくださった方がすごく多かったです。勇気が出た、勇気をもらえた、鳥肌が立った、とも言っていただけました。やっとつかんだものなので、本当に喜んでくれました。これからもみなさんの目標になれるような60代、アクティブシニアめざしてがんばりたいです」
仁ノ岡さんの次の目標はハワイ・ホノルル大会だ。 「来年3月は6年ぶりに復活するホノルル大会に出場します。2016年から2019年まで開催されていてクイーンクラス4連覇中ですので、プラチナクラスでもグランプリを獲りに行きます」
取材:あまのともこ 撮影:舟橋賢