2024年春、カメムシ大発生で果樹に被害が!なぜ大発生?どうやって防ぐ?
果樹の害虫としても、不快害虫としても知られるカメムシ。2024年春、大発生して各地の果樹園で大被害が続発した。家庭の果樹で不安を感じた人、実際に被害を受けた人も多いのでは。なぜ大発生するのか、いつ、どのような対策が可能なのかを病害虫対策の専門家が解説する。 『趣味の園芸』11月号より、一部を抜粋してお届け。
そもそも、カメムシはどんな虫?
2024年春、カメムシが大発生し、各地の果樹園での甚大な被害がニュースで多く流れた。病害虫防除所(*)が出したカメムシに対する「注意報」の件数も、過去10年で最多だった。 *病害虫防除所とは、法律に基づいて全国の都道府県に設置されている県の機関。農産物の安定生産を支援するために病害虫の発生量を予測し、防除時期やその必要性を、警報や注意報などの発生予察情報として関係機関や生産者に提供している。 そもそもカメムシの仲間(カメムシ亜目)は日本に1300種以上が生息している。植物食と動物食の種がいるが、どの種も口が注射針のような形で、植物やほかの昆虫に口針(こうしん)を刺し、その汁や体液を吸って生きている。卵→幼虫→成虫と成長し、さなぎの段階を経ない不完全変態の昆虫だ。敵に襲われると悪臭のある分泌液を出すので「不快害虫」ともされる。 そのうち果樹の果実を加害する主なカメムシは、クサギカメムシ、チャバネアオカメムシ、ツヤアオカメムシで、一般に「果樹カメムシ類」と呼ばれる。果樹に飛来して果実を吸汁するのは成虫である。
大被害の原因は3つ
2024年春は、次の3つの原因が重なり、大被害を招いた。 ①前年の夏の気候が、スギやヒノキの球果が豊作になる条件に適し、球果を食べ物とするカメムシが秋に大発生した。 ②暖冬により、寒さで死ぬ越冬成虫の数が減って、例年より多くの個体が春まで生き延びた。 ③春先が高温になったため、越冬カメムシが早く目覚めて活動時期が例年より早まり、加害期間が長くなった。 このように、カメムシの大発生には、気候、スギやヒノキの球果量が関わっているのだ。