スポーツビジネスを変える「チリーズ」、日本上陸へ──SBIと合弁設立で最終交渉【インタビュー】
交渉開始は冬のヨーロッパ、今後の焦点は日本の法規制
──日本の合弁会社設立に向けた協議はどんな状況か? フェルナンド:合弁会社(JV)の設立は今夏を予定している。まずは法規制の部分を固めてから、JVのコンプライアンスやリスクマネジメントを含む人員体制の設計を進めていく。初期段階では15人、20人規模の人員が必要になるかもしれない。 マックス:我々は日本においてユニークな立場にある。他の多くの市場ではこれまで、時に不確かな規制に直面することもあった。規制当局と話し合いながら、事業に必要なコンプライアンスや他の側面を手探りで構築することがあった。 一方、法規制が整っている日本では、我々が進めてきたアプローチをそのまま行うことにはならない。 まず着手するべきことは、SBI DAHとの提携を通じて、日本の法規制に遵守した事業体制を作り上げていくこと。その体制の下で、ファントークンを日本に迎え入れて頂き、日本市場と世界を繋いでいきたい。 ──交渉はいつ頃始まったのか? フェルナンド:今年1月に欧州で開かれた国際会議でアレックスと会い、お互いを称え合うような会話をした。これが(交渉の)きっかけとなった。 マックス:日本の厳しい法規制に遵守し、透明性のあるサービスを提供するために相応しいパートナー企業を長いあいだ模索してきた。デジタル資産領域において、SBI DAHは特に日本やシンガポールなどでも法規制の部分で強いネットワークと知見を有している。 フェルナンド:およそ半年の間、密に話し合いを進めてきた。短期間ではあるが、数年間話し合ってきたような感覚だ。今後最も注力しなければならないのは、法規制に対する取り組みだ。スポーツファントークンがクロスボーダーで流通する際、世界各国の異なる法規制をクリアしなければならない。
成熟した日本のスポーツエンタメ
──日本市場の魅力は何か? マックス:日本の消費者(スポーツファン層)へのアクセスを望む世界のスポーツIP(知的財産)側の強い需要があるということ。特に欧州サッカーのファンコミュニティには、日本のファンが多く存在する。 次に日本のプロスポーツのユニーク性と、スポーツに対する熱狂は魅力的だ。長い日本の歴史がスポーツの文化を熟成させてきたことを強く感じる。 世界のプロスポーツIPのファントークンを日本のファンに体験してもらいたい。同時に、日本のプロスポーツチームが、海外市場でファンコミュニティを作るためのサポートができるだろうと考えている。 スポーツに国境はない。ファンは国籍に関係なく特定のチームを支援するわけで、資産(トークン)がファンとチームの関係性をより強いものにする。 フェルナンド:マンガ、アニメ、ゲームに加えて、日本の代表的なエンタメコンテンツにはスポーツがある。プロ野球、サッカー、相撲……。しかし、日本で醸成されてきた魅力のあるスポーツコンテンツを、海外のより多くのファン層と繫ぐ取り組みが必要だろうと思う。