石川佳純(元卓球日本代表)「辞めなくて良かったと思いました、あの時に。辛かった時に」──パリ2024オリンピック特集「レジェンドが名場面を振り返る」
石川佳純(元卓球日本代表)が語るオリンピックの思い出とは? パリ2024オリンピックの展望にも注目! 【写真を見る】ロンドン、リオ、東京の名場面を振り返る
石川佳純が振り返る「私のオリンピック」
7月26日のパリ五輪開幕を前に、レジェンドたちがオリンピックの思い出を語る短期集中連載がスタート。石川佳純(卓球)、澤穂希(サッカー)、有森裕子(マラソン)、内村航平(体操)の4名のオリンピアンが、それぞれのオリンピックを語り尽くす。 約3年ぶりに会う石川佳純は、透明感のある肌、凛とした風情は変わらない。一方で“元”卓球選手であることを実感する場面もあった。卓球選手らしいすり足気味だった歩き方は、影を潜めている。3年前は、東京2020の日本代表卓球チームの、ジャージにスニーカーという戦闘服でのスタジオ入りだったが、この日はカジュアルなデニムスタイルで取材ルームに現れた。 今、石川佳純は、47都道府県を訪問し、卓球に取り組む子どもたちと交流するイベントを行う傍ら、フジテレビ系『パリオリンピック™』中継のスペシャルキャスターとして選手への取材活動をこなすなど、多忙を極めている。 ここでは、元卓球女子日本代表として、ロンドン、リオ、東京とオリンピック3大会連続でメダルを獲得した石川佳純に改めてオリンピックに思い出を語ってもらった。 ──これまでオリンピックは3大会経験されています。世界選手権、世界卓球にも出場していますが、オリンピックは何が違うんでしょうか。 まずは4年に一度であること。選手としてのピークも関係してきますから、それだけ特別な舞台です。頑張ること、努力することが何なのかを考えさせられたり、過程を大切にするようになって物事への取り組み方も変わったりしました。オリンピックを目指すことによって、自分の人生も変わったと思います。 ──選手にのしかかる、重圧やプレッシャーという言葉をイメージしてしまいます。 そうですね。毎日不安だったり、孤独だったり、そういうものと常に向き合うみたいに毎日を過ごしていたのかも、と辞めてから気がつきました。 ──それが子どもの頃からの日常だったのでしょうね。 必死だったと思います。不安だし、緊張もするし、毎日それと向き合ってやっていく日々でしたね。みんながそういう環境で毎日を過ごしていたので、それが当たり前というか。でも、オリンピックがあったからこそ経験できたことなんだよな、と辞めて1年経って感じるんです。 ──辞めるまで、そこまでの大きなものだとは思えなかった。 選手の時は、休みの日もあまり気が休まる時間ってなかったのかもしれません。プレッシャーがない状態ってこんな感じなんだ、って辞めたからこそわかるというか。 ──頭の片隅で、卓球のことをどこかで考えてしまう。 もう、ずっとです。ず~っと何か、次の試合の心配というか、準備があったり、何かがあるので、休みの日もちゃんと休みじゃなかったんだなっていうのは、競技生活が終わってから気づきました。その時は休んでいるつもりだったんですけど。休みの日は何の心配もなく、しっかり休めているので、今は楽しくやらせてもらっています。
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