長友、大迫、酒井…なぜ欧州で活躍したレジェンドが相次いでJリーグに復帰しているのか…その背景と復帰効果を探る
9年ぶりの日本復帰を望む酒井の意向を今春の段階でキャッチし、今夏の移籍市場における獲得へ向けて動き出していたのが浦和だった。マルセイユとの間で発生する150万ユーロ(約1億9400万円)の違約金を捻出し、6月10日の正式発表に至った。 大迫は引き続きヨーロッパ1部での挑戦を望むも新天地が決まらず、2部に降格したブレーメンの一員として7月下旬に開幕したリーグ戦にも出場していた。 しかし、昨シーズンと同じくフォワードではなく中盤として起用されていた。来秋のカタールワールドカップをにらみ、フォワードとしてプレーできるチームを希望していた大迫のもとへ神戸からオファーが届き、7年半ぶりの日本復帰を決めた。 大迫の獲得に際しては違約金だけでなく、年俸がJリーグの日本人選手では歴代最高となる4億円(推定)とコストもかかる。ただ、今夏に神戸からセルティックへ完全移籍したFW古橋亨梧が残した、5億円(推定)もの違約金が有効に活用された。 何よりも大迫の意向をくみ、古橋の移籍が決まる前後から交渉を開始。期待の証として背番号「10」も用意した、神戸のスピーディーな動きを抜きには日本復帰は実現しなかった。大迫自身も移籍を決めた理由をこう語っている。 「いろいろな選択肢があったなかで、フォワードとして純粋にもう一回ゴールを取り続けたい、そしてチームを勝たせたい、という思いが強かった。神戸であればタイトルを取れる、これからさらに強化されてよくなっていくと思ったので」 強化部を含めたフロント力は、乾がセレッソ、長友がFC東京と、ともにヨーロッパへ旅立つ直前までプレーした古巣への復帰でも発揮されている。 両チームともヨーロッパのシーズンが終わるタイミングで、状況を見ながら2人に声をかけ続けてきた。乾はシーズンオフで帰国するたびにセレッソの練習に参加し、長友も強化部から「帰ってくるのならばウチへ」と言われ続けたと明かしている。 この図式で言えば酒井は柏レイソル、大迫は鹿島アントラーズ、武藤はFC東京とそれぞれの古巣復帰はなかったのかという声も少なからず上がった。 こうした状況下で酒井は、オーバーエイジで招集された東京五輪前に自身のインスタグラムを更新。アカデミーから育ててくれた柏へ感謝した上でこう言及している。 「今回浦和レッズと移籍が合意したタイミング時には柏レイソルからの話はありませんでした。そしてオファーを頂いたとしても今回は浦和レッズでの大きな挑戦を選んでいたと思います。移籍はタイミングです。僕の決断にブレはありません!」