コメ高騰は今後も続く…「産地での奪い合いが激化」「ブローカーの影響も」終わらない《米騒動》その「最大の原因」
「令和の米騒動」が終わらない。 今年の夏、スーパーの棚から米袋が消え、日本を空前の米不足が襲った。だがこのとき、各メディアは「新米が出れば、米不足は解消される」という見通しを報じていた。たしかに9月以降に新米が出回るようになってからは、店頭の在庫がある状況にはなっている。 【マンガ】「日本人はヤバい」オーストラリア人が「日本のうなぎ」を食べた「衝撃」 問題は、その新米があまりにも高いことだ。日本農業新聞の報道によると、関東圏の主要スーパー7社の新米価格(5kg)は、おおむね3500円以上となっており、新潟県「コシヒカリ」や北海道「ゆめぴりか」では4000円を超える値付けも確認されている。前年同時期と比べると、3~4割ほどの値上がりだ。 今年の新米価格が高騰している最大の理由は、JAなどの集荷業者が農家に支払う金額が異例の高値になっていることにある。 前編記事『米が高すぎる!台湾やベトナムから輸入米も続々…「もう国産は食べられない?」日本人を襲う「新米ショック」』に続き、その背景を解説する。
予測されていた新米の高騰
JAグループでは毎年夏頃、米を集めた際に農家へ支払う金額を都道府県ごとに決める。この支払い金は「概算金」と呼ばれ、店頭での米価格を占う重要な指標になる。 全国的に米不足が注目を集めていた今夏、JAグループで決定された概算金は、軒並み前年と比べて大幅に上がった。主産地を例に挙げると、新潟県では「コシヒカリ」で前年比3100円アップの1万7000円、北海道でも「ななつぼし」で前年比4000円アップの1万6500円となった(いずれも1等米60kgあたり)。 JAが農家に支払う金額が増えれば、当然ながらJAから卸売業者などに売り渡される金額も上がり、その影響は最終的に店頭での米価格に跳ね返ってくる。つまり、今夏の時点で新米が高値になることはある程度予測されていたのだ。
JAを巻き込み、産地で激化する「集荷競争」
だが、いよいよ米の収穫が始まる時期になると、状況はより複雑になった。空前の米不足下での高値相場を見込んだJA以外の集荷業者などが、JAの概算金よりもはるかに高い金額を農家に提示し、米を買い集めるようになったのだ。こうなると、農協としても農家への支払いを増やさなければ、米が他の業者へ渡ってしまう。 先に説明した概算金は各都道府県内で決められた目安に過ぎず、実際に農家へ支払う金額はそれぞれの地域のJAが決める。一部報道によれば、JAによっては管轄地域での集荷競争の激化を受けて、概算金より7000円も高い金額を農家へ提示したとも伝えられている。 こうした産地での“インフレ”は、予想通り新米の卸売価格に響いた。JAなどと米卸との取引価格を示す「相対取引価格」(全銘柄平均)は、10月時点で2万3820円(60kgあたり)となり、昨年同時期と比べて約6割も高騰した。 そして、この卸売価格は、われわれ消費者が支払う小売価格に転嫁される。簡単に整理すれば、現在の新米高騰の背景はこのような構造になっている。
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