給与は月7万円、公営住宅で暮らすシングルマザー「ショックでした」…サッカー好きの息子がポロッと口にした“現実的なひと言”
物価高や低い賃金など、ひとり親家庭を悩ませる経済的な障壁。このような格差は、単にお金だけではなく「体験格差」にもつながります。低所得世帯の深刻な実態について、公益社団法人チャンス・フォー・チルドレン代表理事の今井悠介氏の著書『体験格差』(講談社)より、シングルマザーの藤原さん(仮名)のケースをみていきましょう。
先の見えない地元での暮らしから、息子と2人で都会へ
最低賃金で働く藤原真理さん……長男(小学生) 過疎地域出身の藤原真理さんは未婚で長男を出産し、実家で両親と同居しながら子育てをしてきた。長男が小学校に上がる頃、公営住宅への応募が当選したことを機に都会へと引っ越した。 ―都会の公営住宅に応募しようと思った理由を聞いてもいいですか。 先のことを考えたときに、このまま地元にいるよりは出たほうがいいのかなって。仕事もあんまりないですし、時給もすごく安くて。先が見えなかったです。公営住宅には2年ぐらい応募し続けて決まったので、そこで引っ越しをしようと思いました。 ―それまではずっと地元で暮らされてきたんですね。出産も地元でされたんですか。 そうですね。その頃はコンビニで接客の仕事を長く続けていて、出産の2週間前まで働きました。産後に一度辞めたんですけど、早朝に人が足りなかったみたいで、「ちょっと戻ってこない?」と言われて、土日の早朝に3時間だけならということで戻りました。実家に住んでいたので、母親にその時間帯だけ子どもを預けられるようにお願いして。 でも、やっぱり半年もたなかったな。うちは、父親が寝たきりで、母親が在宅で介護をしてるんです。24時間必要で。その中で私の子どもを置いて仕事に行くっていうのがしんどいかなと思って、コンビニの仕事はそこで辞めました。実家暮らしだったのでそこまでお金に困るという感じではなかったんですけど、貯金が少しずつ減っていく感じでしたね。 ―子育てに専念される形になったわけですね。 地元の土地柄もあるんですけど、こっちの都会みたいにみんなが保育園とか幼稚園に行かすという選択肢があるわけではなくて。幼稚園もない集落でした。近くに学校はあるんですけど、小さい子にとっての場所ってほとんどないんですよね。公園もなくて。 だから、自分でコミュニティ会館みたいなところに連れていったりしていました。そこは自分と同年代の人があんまりいなくて、「あれ、一人なの?」とか、自分が聞かれたくないことも聞かれずに済むというか、ただそこで子どもを遊ばせることができるような場所で。 ―都会に出てこられて、再び働き始めたという形でしょうか。お子さんは小学校に。 働き始めたのは去年です。それまでは私の祖母が自分の蓄えを初めてのひ孫にということで援助してくれて。とてもありがたかったです。ただ、働かないとその貯金も減っていくばかりで。そういう追い詰められた感じになって、働くまでの踏ん切りをつけて。そこから始めて1年やってきたので、今は働くことへの抵抗もないし、この1年は大きかったです。 ―一人で子育てをされながら仕事を再開することの大変さもあったと思います。預金も尽きてくる中で、生活保護の利用を考えたことはありましたか。 生活保護は一度も考えたことはないです。そこに頼るのはちょっと抵抗がありました。何かほかに手段があるんじゃないかと思って、ギリギリで生活していました。自分を追い込んで、もう働くしかないという。
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