12年ぶり開幕3連敗…横浜DeNA三浦監督の誤算と懺悔…「勝ちにつなげられないのは監督」
慣れない回途中の緊急登板を告げられた山崎も何かがおかしかった。塩見に対して1球、2球とストレートが浮いた。戸柱はミットを外角低めに構えていた。ボールを低めに集める“ヤスアキらしさ”がない。キレのない宝刀ツーシームを狙い打ちされた。レフトフェンスに張り付いた佐野がジャンプして手を伸ばしたが届かない。2人が還って同点。さらにヤクルトベンチが勝負どころに温存していた代打の切り札・川端にも初球のストレート系のボールが高めに浮いた。おそらく新球のツーシーム。これも外角低めを狙ったボールがコントロールできていなかった。前進守備を敷いていたライトの頭上を越えていく勝ち越しの一打。2軍キャンプから這い上がってきた通算169セーブの“元守護神”も流れを止めることできなかった。 三浦監督は素直に山崎に“懺悔”した。 「ヤスアキには慣れていないところで途中から行ってもらった。結果的にこうなってしまい申し訳なかった」 ラミレス政権下で投手コーチを務めた三浦監督は、一度、ブルペンで準備をして出番のなくなっていた山崎が、気持ちを作り直して回途中にマウンドに上がることがいかに酷な登板だったかが痛いほどわかる。今季のスローガンは「横浜一心」…結束である。負け投手となった山崎は、この指揮官のコメントには救われたのかもしれない。 実は、誤算は、もうひとつあった。 6回二死三塁の場面で先発の大貫に打順が巡ってきたが、三浦監督は、そのまま打席に立たせた。追加点を取りにいかず大貫の続投を選んだ。 「大貫が良かっただけに…球数も100球ちょっと。もう1イニングと」 大貫は立ち上がりから飛ばして6回まで4安打無失点の素晴らしいピッチングを見せていた。だが、5回に入ると、ストレート、ツーシームの球速が、約3、4キロダウンするなど明らかに疲れが見えていた。6回の時点で98球。加えて今季初登板。しかも1点の欲しい場面だった。7回山崎、8回石田、9回三嶋の勝利方程式に入るのが“常套”。しかし“番長”の決断は続投だった。 大貫は7回、先頭の塩見に一発を浴びた。結果的に過去最多となる112球を更新する118球を投げた。結果論でモノを申せば、この1点が、回り回って後の展開に響いてくることになる。 現役時代にエースナンバー「18」を背負い、先発完投を美学としてきた三浦監督には、ひとつのビジョンがある。 「勝つためにはどうすればいいか。5回じゃ勝てない。6、7回を投げていかなくてはならないということがわかってくれれば、どういう練習が必要になるかがわかります。ゆくゆくは、そこにたどりついてくれれば」 先発はチームが勝つために1イニングでも長く…大貫を続投させたのも、その番長流のメッセージである。このミスがこの先どう生きてくるのか。