なぜ松山英樹はマスターズで4打差の単独首位に踊り出たのか…「どうなるのか…自分でもとても不思議な感じが」
ここまで叩いたボギーはわずか4つ。3パットを叩いたのも3度だけという3日間を、松山は「あまり波を立てることなく、あまり怒らずにできた」と穏やかな表情を浮かべながら振り返った。 「明日(の最終日)はそういうことがすごく大事になってくると思うので、それができればすごくチャンスがあるんじゃないかと思っています」 メンタル面が波風を立てていない背景を探っていけば、今年からコーチ契約を結んだ目澤秀憲氏の存在に行き着く。東北福祉大在学中にプロへ転向した2013年から特定のコーチをつけず、自分の感性や判断力を頼りに一人で戦ってきた松山へ、難関とされるアメリカのレッスンライセンスTPIを取得するなど、豊富な知識とノウハウをもつ目澤氏が客観的な視点を加えた。 同時に目澤氏の存在が、安心感をも与えてくれたと表現すればいいだろうか。一人であれこれと考えながら悶々とする時間が取り除かれ、心技体のすべてをプレーへ集中させられる環境が整ったなかで、ティショットにアイアンショット、アプローチ、そして長く課題としてきたパッティングのすべてが3日目にして完璧なハーモニーを奏で、歴史を変えるための挑戦権をついに手にした。 「なかなかトップで最終日を迎えることがなかったので……」 自らの立ち位置をこんな言葉で表現した松山は、ちょっと間を置いて「初めてなので」と訂正した上で、メジャー大会の最終日にトーナメントリーダーとして最終組を回る心境と抱負をこう語った。 「どうなるのか、自分でもとても不思議な感じがありますけど、自分にできる準備をしっかりとして、明日のティータイムを迎えたいと思っています」 最終日のスタートは日本時間12日午前3時40分に決まった。3日目と同じシャウフェレとの組み合わせで、日本人選手として初めてグリーンジャケットに袖を通すだけでなく、マスターズを含めた男子の4大メジャーで初めて頂点に立つための歴史的な戦いをスタートさせる。