なぜ松山英樹はマスターズで4打差の単独首位に踊り出たのか…「どうなるのか…自分でもとても不思議な感じが」
そして、圧巻のショットが15番(パー5、530ヤード)で飛び出す。残り208ヤードの第2打。ほとんどの選手がグリーン周りの池を避け、ドロー系のボールで攻めていたなかで、松山は5番アイアンによるカットショットを選択。ピンそば1.8mにつけるスーパーショットでパトロンたちを驚かせた。 しかも、セカンドショットを打つ前にキャディーと交わしていた、ジョーク混じりの会話を聞けば、いかにメンタル面が安定していたのかが伝わってくる。 「5(5番アイアン)をしっかりと言われたので、何言っているんだ、と思いながら、はい」 グリーン上ではリーダーズボードをあえて視界に入れ、ローズらと通算7アンダーで並んでいる状況を確認した上で、イーグルパットを難なく沈めた。一気に通算9アンダーに伸ばして単独首位に立った松山は勢いをさらに加速させ、16番(パー3、170ヤード)と17番(パー4、440ヤード)でも連続バーディーをゲットし、マスターズにおける自己ベストスコアの「65」をマークした。 最終18番(パー4、465ヤード)では、第2打がキャリーでグリーンを越えてしまう大ピンチに見舞われた。しかし、25ヤードと距離のある難しいライのアプローチを、スピードが遅くなったグリーンの状態を加味しながらピンそばわずか80cmに寄せ、危なげなくパーをセーブした 上位陣のなかでただ一人、ノーボギーという群を抜く安定感に加えてインの後半に4つのバーディーと3日間連続のイーグルをゲット。3日目に松山がマークした7アンダーは、スコアが大きく動く、いわゆるムービングサタデーに臨んだトップ選手たちのなかで断トツの数字だった。 新型コロナウイルス禍で4月第2週の開催が11月となった前回大会初日に、2時間53分におよぶ雷雨中断を経験している松山は「去年の中断の方が長かったので、全然苦ではなかったですね」と中断がプレー面とメンタル面の両方で、むしろターニングポイントになったと位置づけている。 「中断の前に悪いショットで終わっていた。その後にグッドショットが続いたのでよかったです」