女性の体をきれいに見せる<ジャケット>。より活躍するのはシングル?ダブル?ファッションエディター・大草直子がおススメの着こなしを紹介
◆ジャケットにお金をかける 47歳になって、ずっと憧れだったシャネルジャケットを手に入れました。 物質を所有しているかしていないかは、どちらでも良いのですが、なぜ、私がシャネルのジャケットを欲しかったかというと。 そして、どうして50歳直前まで待っていたかというと……。 それまでは、私の体のラインが、そして目指す方向性が、とにかく中途半端だったから。 そうしているうちに、あるタイミングで皮膚はゆるみ、肉質は柔らかくなり、重心は落ちる。 そろそろ、どのディレクションに行くかを、流れに任せて、ではなく自分で決めなくてはいけないときが来るのです。 シャネルだけではなく、上質なジャケットは、そんな瞬間に、私たちに問いかけてきます。 「そろそろ似合うけど、どうする?」と。
◆ジェンダーを解放した先駆者 ジャケットは、元々男性のアイテム。直線を際立たせ、立体的なフォルムを作ってくれるアイテム。 男性的で、マスキュリンなパーツをくっきりと見せてくれるのだとしたら、ボディラインが甘くなった年代には、間違いなく似合います。 そしてTシャツやデニムに比べて、素材だけでなく、パターン、縫製、そしてシルエット、ディテール。お金をかけるパーツが多いからこそ、ジャケットには投資してしかるべきと強く思います。 件(くだん)のシャネル。デザイナーのココ・シャネルは、元々紳士専売のジャケットを、女性がゆったりと、そして意思的に着こなすことで、ジェンダーを解放した先駆者です。 だからこそ、絶対に手に入れて体感したかったし、袖を通した瞬間、彼女のように、迷いなく人生を進め、きっぱりとマスキュリンに生きよう。そう、まさに人生のディレクションが決まったのでした。 ジャケットには、ブランドの矜持(きょうじ)が映る。 日本のブランドだったら、カオスやマディソンブルー、海外なら、セリーヌなど。 一生着られる、とは言わないけれど、一生に1回、覚悟を決めて良い。 ※本稿は、『見て触って向き合って 自分らしく着る 生きる』(マガジンハウス)の一部を再編集したものです。
大草直子
【関連記事】
- ファッションエディター・大草直子 今パンツシルエットは太いのが主流でも、数年後ガラリと…おしゃれは「なる」ものでなく「する」ものと考えよう
- 人気スタイリストが教える、毎日同じ服を着続けても飽きない理由。「1セットの服」で自分を好きになる方法とは?【2024年上半期BEST】
- スタイリスト・西ゆり子「服を変えれば、人生が変わる!でも、教えてくれる場所がない…私が『着る学校』を作った理由」【2024年上半期BEST】
- 60代女性が着こなすオールインワン。一度着たら、あまりのラクさに驚くはず。カジュアルになりすぎないポイントは…
- 気づいたら同じ色の服ばかり…少し色を足すだけで、着こなしの幅がグッと広がる!人気スタイリストが教える、グレーや黒に合う色の選び方・合わせ方