「1点リード」を利用できなかった横浜。審判にゲームを壊されてしまったACL決勝
こうして、2試合合計でも、また試合の流れでも互角の勝負になったと思われたのだが、その矢先の29分にアル・アインはPKをゲットする。
右サイドバックのバンダル・アルアハバビからのアーリー・クロスにラヒミが飛び込み、畠中槙之輔と接触。タンタシェフ主審はラヒミのシミュレーションと見てイエローカードを提示したのだが、ここでVARが介入。畠中のファウルと判定されてしまったのだ。
スロー映像で見れば、たしかに畠中の膝がラヒミに接触している。だが、ラヒミがPKを狙って飛んでいたのは明らかだ。うまく、相手に接触するように飛んでいるのである。しかし、VARでスロー映像を見れば足が接触しているので審判はファウルを取りたくなってしまう。プレーの流れを見ないで、一瞬を切り取った映像だけを見る結果だ。
結局、カクがPKを決めて、アル・アインは2試合合計で3対2と逆転に成功する。しかし、40分にはアル・アインのクアム・クアディオがバックパスを漫然とコントロールしようとしたところをヤン・マテウスが後方から奪って1点を返して、2試合合計は再び3対3のタイとなった。
ところが、45分+10分に今度は抜け出したラヒミを飛び出したGKのポープが止めようとしたところで、再び、ラヒミがうまく倒れてポープが退場となってしまう。
こうして、後半は横浜FMは1人少ない状態での戦いを強いられることとなってしまったのだ。
試合後のフラッシュインタビューで、ハリー・キューウェル監督は「審判によってゲームが壊された」と主張していたが、まさにその通り。あらゆる事象にVARが介入してゲームの行方を左右してしまう……。AFCの大会では、何度も経験してきたことがまたも起きてしまったのだ。
第1戦とは戦い方を変えてきたアル・アイン。エルナン・クレスポ監督の意思をピッチ上でうまく表現した選手たち。そして、トップのラヒミの決定力および演技力……。アル・アインが強力なチームだったことは間違いない。